2017 Fiscal Year Research-status Report
低インフラ地域でも利用可能な感染症バイオマーカーの早期検出法の開発(国際共同研究強化)
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15KK0246
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
荏原 充宏 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA准主任研究者 (10452393)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 早期診断 / バイオマーカー / スマートポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
世界70億人のうち、1/2は衛生面で問題を抱え、1/3は電気が使えず、1/5はまともな水が飲めない環境で生活しているといわれている。こうした地域では、毎年1000万人以上が5歳まで生きられずに死亡しており、その死因の半分以上がepidemics(マラリア、結核、インフルエンザなどの疫病)である。通常、感染後最初に見つかるのがRNA、次にp24などの抗原、次にIgM型抗体、そして最後がIgG型抗体であるが、これらの血中濃度は感染初期では特に低く、例えば炎症性サイトカインの場合、pg/mLオーダーである。高の数値は、イムノクロマト法などの簡便なポイント・オブ・ケア(POC)検査を用いての検出は難しい。そこで本研究では、特殊な環境下でも駆動し(摩擦熱や太陽光)、利用者の手技によらず誰でも簡便に使用でき(唾液や尿をかけるだけ)、短時間・低コストで診断結果が得られる(1ドル以下、20分以内)診断技術の創生を目指す。このような条件を満たす方法で血中微量バイオマーカーを早期検出するため、pg/mLレベルまで検出可能な高感度センサーを開発するのではなく、POCで検出可能なug/mLレベルまでバイオマーカー自体を濃縮させるという着想に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、温度応答性ポリマーと抗体との複合体を作製し、それを用いて目的バイオマーカーの分離・濃縮・検出を行う。平成28年度までにシクロオクチン化温度応答性ポリマーを合成し、アジド化抗体との反応効率の検討を行ってきた。具体的には、ポリマー濃度、反応温度、不純物の影響などを検討してきた。得られた最適条件を基にして、平成29年2月よりp24抗体の効率的な分離・濃縮を詳細に検討した。の条件を基に、平成29年3月27日~4月6日、5月13日~23日、6月6日~15日までUniv.Washingtonの協力者のStayton教授の研究室にて、ラテラルフロー用のニトロセルロース膜上における温度応答性ポリマーとの反応を試みた。また同様に、平成29年7月23日~8月17日、10月26日~10月29日、12月26日~平成30年1月6日、平成30年3月7日~18日に渡米し、膜上へのポリマーの凝集試験を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた結果から反応条件を再度最適化し、平成30年5月9日~22日まで渡米しポリマーの結合乗数の算出実験を行う。次にバイオマーカーの検出のために、平成30年6月5日~7月5日まで渡米し、ポリマーの分子量と溶液の粘土の関連性を明らかにする。また酵素基質反応を用いた検出方法に関しては、平成30年8月1日~9月5日に渡米し、ポリマーの末端に酵素を反応させる。これらの結果を踏まえて、国際特許出願や論文の作成などの打ち合わせ、共同シンポジウムの開催などを目的とし、平成31年1月19日~2月1日まで渡米する。また、この段階においてシアトルに拠点を置くNPO法人PATHと打ち合わせを行い、抗HIV-1抗体、抗p24抗体、抗PfHRP2抗体の提供を受けるとともに、実用化レベルに近いシステムの検討を行う。これらを用いた試験とプロジェクトのまとめのため、平成31年3月1日~3月10日に渡米し、目標に掲げた数値の実現と実用化のためのポートフォリオのディスカッションを行う。プロジェクト期間では、2週に1度のStayton教授とテレビ会議にて意見交換を行う。
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Research Products
(8 results)