2018 Fiscal Year Annual Research Report
Evolutionary significance of anthesis time in the adaptive generalization to pollinators(Fostering Joint International Research)
Project/Area Number |
15KK0249
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大橋 一晴 筑波大学, 生命環境系, 講師 (70400645)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 種間関係 / 進化生態学 / 送粉生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年10月1日からドイツ・ダルムシュタット工科大学に滞在し、本研究の課題遂行を開始した。まず、渡航直後から滞在中をつうじ、花が多様な訪花動物との相互作用に適応する際の制約となる「表現型トレードオフ」と「機会トレードオフ」について、共同研究者のユルゲンス博士と議論を重ねた。その結果、これらのトレードオフの成因とその進化的帰結を正しく理解することが、生物間相互作用における「特殊化」に関する既存の概念の混乱の解決につながることに気づいた。さらに、トレードオフの存在下で多様な動物を送粉に利用するための「適応的一般化」が、花の形質の多様化、あるいは送粉シンドロームと呼ばれる特定の形質の進化的むすびつきをもたらしたのではないか、というアイデアに至った。これらの議論を土台に、現在、トレードオフの概念を整理し、かつ新しい仮説を提唱する総説論文を、2本分の内容に分けて執筆中である。また、2018年3月から5月にかけて、ヘッセン州オーデンバルド郡の4つのバッコヤナギ自生地において、昼夜の送受粉に関する野外調査を実施した。調査では、昼夜の送受粉の成否を左右しうるパラメータとして、花粉の寿命と温度の関係、開花時刻、雄株と雌株の距離を計測するとともに、風による送受粉、昼行性の昆虫(ハナバチ類、チョウ類)による送受粉、夜行性の昆虫(着花性ガ類)による送受粉が、それぞれ結実率にどれだけ貢献するかを定量的に明らかにするため、袋がけ実験をおこなった。袋がけ実験の結果は、2019年3月までに結実率の計測を終え、現在データ解析中である。解析を終了次第、原著論文にまとめて国際誌に発表する予定である。また、滞在中にはスマートフォンを用いた簡易UV写真撮影法を考案し、現在これについても、国際誌への発表のため論文を執筆中である。以上のように、本計画の実績として、4本の原著論文を国際誌に発表する予定である。
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Research Products
(2 results)