2016 Fiscal Year Research-status Report
哺乳類ミトコンドリア蛋白質合成系の再構築と分子機構の解明(国際共同研究強化)
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15KK0250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 野乃 (竹内野乃) 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (80323450)
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Project Period (FY) |
2015 – 2017
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Keywords | ミトコンドリア / リボソーム / クライオ電子顕微鏡観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、医療応用の観点からミトコンドリアリボソームの機能構造相関を解明する必要性が高まっている。本研究課題では、ミトコンドリアのリボソーム構造動態を網羅的に理解することを目指し、様々な翻訳伸長リボソーム複合体のCryoEM構造解析に取り組んでいる。 EF-G2mtは申請者自身が見いだした哺乳類ミトコンドリアのリボソームリサイクリングを担う新規の翻訳因子である(Tsuboi et al., 2009)。バクテリアでは、翻訳伸長過程におけるトランスロケーション反応とリボソームリサイクリング過程におけるリボソーム解離反応をEF-Gが担うが、ミトコンドリアではそれらを異なる2つの因子(EF-G1mtおよび EF-G2mt)が分担している。今回申請者は渡航先にて、2つのリボソームリサイクリング複合体(PRE-recycling complex, mtRRF/55S; POST-recycling complex, mtRRF/mtEF-G2・GDPNP/39S)について構造を決定した。分解能はそれぞれ4.0オングストローム、 4.1オングストロームであった。ミトコンドリアのリボソームリサイクリングの分子機構の詳細が明らかになるとともに、リサイクリングとトランスロケーションにおけるEF-G の作用機序の違い、リサイクリングにおけるEF-GによるGTP加水分解の役割、について知見が得られた。これまでにミトコンドリアリボソーム単体の構造について報告があるが、ミトコンドリアリボソームと翻訳因子の複合体について世界ではじめての報告となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
渡航期間中に、2つのリボソーム複合体の構造を高分解能で決定できたことは大変順調であったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
9.で述べた成果について論文を準備し投稿する予定である。申請者が複合体を調製し、共同研究者が構造決定を完了したものもある(PRE-Translocation complex、POST-Translocation complex、mtEF-G1・GDPNP/55S)。これらについても順次投稿の準備を進める。その他のリボソーム複合体(mtRF1L/55S、 mtEF-Tumt・GTP・Ser-tRNA(UCN)/55S、mtEF-Tumt・GTP・Ser-tRNA(AGY)/55S、など)について構造決定を進めて行く。
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