2016 Fiscal Year Research-status Report
mRNA前駆体の組織特異的転写後プロセシングの制御機構の解明(国際共同研究強化)
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15KK0252
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
黒柳 秀人 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (30323702)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 遺伝子発現制御 / RNAプロセシング / 線虫 / 新生RNA / 転写 / mRNA前駆体 / イントロン / RNAseq |
Outline of Annual Research Achievements |
海外共同研究者のY. Xing教授らがこれまでに論文発表したRNAseqデータの解析プログラムMATS、あるいは現在開発中であるmRNA中のイントロン保持率を解析するパイプラインについて、具体的なアルゴリズムや期待される出力の精度などについて情報交換を行った。さらに、代表者らが基課題で得た線虫新生RNAのRNAseqデータの取得方法や、これらから得られると期待される情報解析結果についても情報交換を行った。その結果、Yi Xing教授らが現在開発中のプログラムを代表者側のサーバーにもインストールさせてもらい、先方は哺乳類のRNAseqデータを、代表者らは線虫のRNAseqデータをそれぞれ解析し、結果を持ち寄って討論することで、プログラム自体の完成度を高めながらそれぞれのデータの解析を進めていく、という共同研究の基本方針を確認することができた。 また、哺乳類の個体からの新生RNAの調製法を検討する一環として、海外共同研究者のD. Black教授のグループの博士研究員らから、マウス臓器から細胞核画分のみを回収する細胞分画方法を実演してもらい、代表者自身も実際に処置を行って、細胞核画分を回収するところまで終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、2016年11月に最初の渡航をし、代表者自身の研究室で稼働している主に線虫を使う実験系と、海外共同研究者の研究室で稼働している哺乳類培養細胞や遺伝子改変マウスを用いる実験系、および生物情報学的解析を交互に試しながら研究を進めるため、査証の不要な3ヶ月以内の渡航を繰り返す予定であった。しかし、渡航先外国機関の方針で実験等を行うためには短期間の滞在であっても査証を持って渡米しVisiting Scholarとして正規にチェックインすることが必要となった。そこで、必要書類を揃えて先方に送ったところ、駐日米国大使館への査証申請に必要な書類を渡航先外国機関から発行してもらうのに4ヶ月を要し、その結果、交付申請も予定より遅れ、最初の渡航も結果的に2017年2月末となった。そのため、年度当初の予定に比べると出だしが遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
イントロン保持率をゲノムワイドに解析するためのプログラムを開発中の海外共同研究者である大学院生を交えて討論し、プログラムを代表者らの研究室のサーバーにインストールさせてもらった。現在は代表者が一時帰国して、大学院生と共に試しに線虫RNAseqデータを投入して、バグ取りをしている段階である。今後はY. Xing教授らと確認した解析方針に基づき、線虫の新生RNA中のイントロンの経時変化について、定量的な解析の方策を探っていく。 定量的な解析が終了し、線虫のイントロンをスプライシング効率が異なるグループに分類できたら、RT-PCR法などを用いて、グループごとに実際にスプライシング効率が異なるか、実験的に検証していく。 スプライシング制御因子変異体から調製した新生RNAの解析データについても上記で確立した解析方法を適用し、変異体におけるスプライシングパターンの異常とイントロン除去効率の変化に相関関係があるか解析していく。 哺乳類培養細胞やマウス臓器においても同様のスプライシング制御モデルが当てはまるか、新生RNAを標識・精製する実験系を構築して実験的に検証する。
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Research Products
(1 results)