2017 Fiscal Year Research-status Report
mRNA前駆体の組織特異的転写後プロセシングの制御機構の解明(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0252
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
黒柳 秀人 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (30323702)
|
Project Period (FY) |
2016 – 2018
|
Keywords | 遺伝子発現制御 / RNAプロセシング / 線虫 / 新生RNA / 転写 / mRNA前駆体 / イントロン / RNAseq |
Outline of Annual Research Achievements |
1.海外共同研究者のY. Xing教授と大学院生が開発中であるmRNA中のイントロン保持率を解析するパイプラインを日本側の解析用サーバーにインストールさせてもらい、基課題で取得した線虫新生RNAのRNAseqデータを用いて解析を行って、線虫の各イントロンのスプライシング効率についてのゲノムワイドな分類ができた。一方、代表者自身がバイオインフォマティクス解析のワークショップに参加してPythonによるプログラミングを習得し、ジレスピーアルゴリズムによる転写と共役したmRNAプロセシングのシミュレーションプログラムを作成して、さまざまなパラメータの変動により新生RNAのRNAseqどのように変化するかシミュレーションできるようになった。 2.海外共同研究者のD. Black教授のグループの博士研究員らから指導を受けてマウス臓器から細胞核画分のみを回収する細胞分画を行い、RNA調製や蛍光免疫組織染色などの条件検討を行った。これらの実験を経て投稿した哺乳類スプライシング制御因子RBM20についての論文が採択された。 3.米国Emory大学の共同研究者を訪れて線虫のトロポミオシンをコードするlev-11遺伝子のスプライスバリアントの解析結果について討論し、エクソン7aを含む新たなアイソフォームLEV-11Oが頭部体壁筋でのみ発現することを論文として発表した。また、lev-11遺伝子の他のアイソフォームの組織発現分布についても解析し投稿中である。 4.線虫のmRNAプロセシング制御(組織特異性、発生段階依存性、ノンコーディングmRNAの産生と品質管理による発現量の制御、遺伝学的解析方法、他の生物との比較など)についての総説を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は通算6ヶ月近く共同研究先に滞在したことで、バイオインフォマティクスについてのさまざまなワークショップに参加してバイオインフォマティクス解析の方法を理解し、シミュレーションや機械学習のノウハウを身につけ、本研究課題の主要な目的だった線虫新生RNAのRNAseqデータの解析法について、具体的な戦略も含めて共同研究者らと内容を討論することができた。一方で、先方の開発担当者の大学院生がさまざまな共同研究を抱えて多忙であること、日本国内で用意した解析サーバーはハードディスクが故障して遠隔操作ができなくなり修復にも月数を要したことから、実際のバイオインフォマティクス解析結果を盛り込んだ共著論文の執筆は当初計画よりは遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の当初計画では、海外共同研究者の研究室に滞在しての研究は2018年4月末で終了する予定であった。一方、基課題の後継課題では、2017年度中に線虫新生RNAの全長配列解析用のライブラリ調製の条件検討を行い、2018年度中にはその解析データが得られる予定となっている。そこで、本研究課題でも、当初計画にあった短リード長のRNAseq解析データによる個別のイントロンのスプライシング制御動態の解析に加えて、新たに得られる予定の全長RNA配列データを組み合わせることで各遺伝子内のイントロン除去の順序や転写との共役についてゲノムワイドな解析を行いたい。さらに、当初計画には無かったが、得られたスプライシング動態の解析結果とジレスピーアルゴリズムによるシミュレーションを機械学習と組み合わせることで、各イントロンのスプライシング速度を規定するゲノム配列上の特徴を見出して結果を予測する解析を行い、レポーターミニ遺伝子の作製あるいはゲノム編集によりモデルを検証する実験をしたい。そのためには2018年度1年間では時間が足りない可能性があり、翌年度へ延長も考えたい。
|
Research Products
(14 results)