2016 Fiscal Year Research-status Report
霊長類の食性と腸内細菌との共進化(国際共同研究強化)
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15KK0256
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
半谷 吾郎 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (40444492)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 腸内細菌 / 霊長類 / 共進化 / 食性 / 系統 / 消化 / 16S rRNA / 発酵 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、腸内細菌が霊長類の消化機能にどう影響しながら、生態学的時間スケールと、進化的時間スケールの両方で、霊長類と共進化してきたのかを明らかにすることである。 進化的時間スケールの研究としては、多種の野生霊長類について、糞試料を収集し、腸内細菌叢を比較して、霊長類の系統や食性に応じて、腸内細菌叢がどのように変化するのかを明らかにする。基課題で収集してきた日本、マレーシア、ウガンダでの調査に加え、本研究ではガボンと中国で新たに試料の収集を行う。本年度は、ガボン、ムカラバ・ドゥドゥ国立公園での野外調査を2月から3月に実施し、野生霊長類6種(ゴリラ、チンパンジー、クチヒゲグエノン、キタタラポワン、ホオジロマンガベイ、シロエリマンガベイ)の試料を収集した。 生態学的時間スケールの研究としては、5月に屋久島の上部域と海岸部で新鮮なニホンザルの糞を採取し、それを用いて葉の乾燥粉末の試験管内消化実験を行った。その結果、食性の異なる屋久島の上部域と海岸部で、ニホンザルの腸内細菌が葉を基質にして発酵する能力も異なっていることが明らかになった。この糞試料をスイス、チューリヒ大学進化生物・環境学研究所で分析した。細菌のバーコード領域である16S rRNAの分析、およびすべての塩基配列を網羅的に解読するメタゲノム解析を行った。実験は終了し、現在配列データの解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、2回の長期海外渡航を終え、それぞれ試料収集及び遺伝子解析という、当初の目的を順調に終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は中国に渡航して新たに霊長類の糞試料を収集し、あわせて中国滞在中に遺伝子解析を行う。ガボンで収集した糞試料の遺伝子解析を、日本で行う。スイスでの遺伝子解析の結果をまとめ、論文執筆する。
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Research Products
(12 results)