2017 Fiscal Year Research-status Report
性機能を司る脳-脊髄神経ネットワークにおける非シナプス的神経制御メカニズムの解明(国際共同研究強化)
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15KK0257
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂本 浩隆 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (20363971)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 脳-脊髄神経ネットワーク / 神経内分泌 / ガストリン放出ペプチド / オキシトシン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまでに,脊髄に存在するガストリン放出ペプチド(GRP)系が雄優位な性的二型を示し,雄の性機能を脊髄レベルで制御することを報告してきた。本研究では,この新規に見出した性機能を司る回路システムと脳との機能的・器質的結びつきについて解析する。特に,脳が合成する下垂体後葉ホルモンのひとつ,オキシトシンの脊髄における作用に着目した解析を進める。その過程で中枢神経系において「ペプチド性シグナル分子の作用部位がシナプス構造に必ずしも限局する必要がない」,という興味深い現象を明らかにしつつある。そこで本研究では国際共同研究を広く展開し,シナプスを介さない従来とは全く異なる極めて独創的な概念:ニューロン-ニューロン間コミュニケーションにおいて,シナプスを介さず傍分泌的に作用するという革新的な生命原理 volume transmission機構を解明することを目的としている。 英国オックスフォード大学John F. Morris教授が既に脳ニューロンおよび下垂体後葉において確立している「エキソサイトーシス誘発実験技法」を脊髄に応用することを試みる。これらの予備的な解析は国内で予め行い,渡航後の研究進展の効率化を図る。平成29年度は,研究代表者が約3ヶ月間オックスフォードへ滞在し,John F. Morris 教授のご指導の下,エキソサイトーシスの立体的な電顕解析に関する解析を行った。また,平成29年度は,研究代表者が約2週間米国エモリー大学へ滞在し,Larry J. Young 教授と国際共同研究に関する打合せを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英国オックスフォード大学にて,本格的な電顕解析を開始した。また,同大医学部の薬理学講座のAntony Galione 教授との国際共同研究を開始した。今後,オックスフォード大学との有機的な連携により,飛躍的な研究進展が期待できる。また,米国エモリー大学へ2週間滞在し,Larry J. Young 教授と国際共同研究に関する打合せを行った。
以上の成果から、研究はおおむね順調に進展しているものと自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度のオックスフォード大学における予備解析が良好であったので,30年度夏期は,Galione 教授とのさらなる連携をも目指し,オックスフォード大学で引き続き国際共同研究を推進する予定である。従って,夏期7月―9月,および春期2-3月(のうち3ヶ月程度)はオックスフォード大学への渡航を予定している。
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