2017 Fiscal Year Annual Research Report
Structural analysis of protein using synchrotron-radiation vacuum-ultraviolet circular dichroism and study of biomolecular interactions(Fostering Joint International Research)
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15KK0260
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松尾 光一 広島大学, 放射光科学研究センター, 准教授 (40403620)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Keywords | 円二色性 / 蛋白質 / アミロイド線維 / 分子動力学 / 放射光 / 溶液構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射光を用いた真空紫外円二色性(VUVCD)法は、蛋白質のCD測定を高エネルギー領域である160nmのVUV域まで拡張することができるため、CD理論と組み合わせることで、蛋白質の局所構造解析などが可能となり、獲得できる構造情報が格段に向上する。そこで本研究では,昨年度高度化したCD理論の性能評価を行うと共に、この手法を蛋白質-蛋白質相互作用系となるアミロイド線維の構造解析に応用した。 1 蛋白質CD理論の評価 CD理論の評価は、X線結晶構造の各原子の3次元座標から得られる計算CDを、実測CDと比較することで行うが、今回我々は、結晶構造を分子動力学(MD)法でシミュレートした後に、計算CDと実測CDとの比較を行った。二次構造含量が異なる17種類の蛋白質を対象に、3種類のCD理論を用いて計算を行なった結果、いずれの計算方法においても、MD法を用いた理論スペクトルで、実測VUVCDと近い結果が得られた。これにより、水溶液中での構造揺らぎを考慮できるMD法が、CD理論による蛋白質のVUVCD計算に有効であることが分かった。 2 β2-microglobulin(β2m)フラグメントアミロイド線維の理論CDスペクトル β2m21-31アミロイド線維の酸性条件下(pH5.0)の実測VUVCDスペクトルは、280nm付近で正、220nm付近で負、200と180nmで連続した正のピークを示した。β2m21-31アミロイド線維の多様なモデル構造を固体NMR構造(β2m20-41)から形成し、GROMACSでMD計算を行い、CD理論を用いて計算スペクトルを得た。その結果、システイン基のCβとS原子がトランス型のモデル構造で、VUV域までの実測スペクトルと良く一致する理論スペクトルが得られ、β2m21-31アミロイド線維(pH5.0)は、ジスルフィド結合周辺で特徴的な立体配座を形成することが分かった。
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Research Products
(17 results)