2016 Fiscal Year Research-status Report
選択的オートファジーによる葉緑体のリサイクルと品質管理の分子基盤(国際共同研究強化)
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15KK0270
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 宏幸 東北大学, 農学研究科, 准教授 (60312625)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
葉緑体は植物に特有なオルガネラであり、光合成のために窒素の多くが分配されタンパク質として機能している。光独立栄養生物である植物にとって、成長や生殖に伴う栄養リサイクルやオルガネラ品質管理としての葉緑体の分解は、生存・成長戦略の一つとして重要な意味を持つ。オートファジーは栄養飢餓などのストレス条件下で働く真核生物に普遍の細胞内分解システムである。オートファジーは基本的にはバルク(大規模かつ非選択的)な分解経路であるが、一方でミトコンドリアやペルオキシゾームなど特定のオルガネラに対する選択的オートファジーの存在も明らかにされている。選択的オートファジーでは、オートファジーの進行に中核的な役割を担うコアATG因子に加えて、オートファジーレセプター/アダプター分子が基質認識に関わる因子として重要な役割を担っており、動物や酵母ではそれらの分子が複数同定されている。葉緑体は「選択的オートファジー」により特異小胞RCB(Rubisco-containing body)を介して「部分的に」、あるいはオルガネラ全体が「丸ごと」液胞に運ばれ分解されるが、その詳細な分子機構は不明である。基課題が目指す到達点は「葉緑体オートファジーの選択性に関わる分子実態とその生理的重要性の解明」であり、この目標を達成するべく国際共同研究によって研究をさらに加速させる。次年度9月から米国コーネル大学Klaas van Wijk教授の研究室を訪問し「共免疫沈降法とLC-MS/MSによる葉緑体オートファジーに関わるレセプターの同定」を中心に国際共同研究を展開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りである。コーネル大学Klaas van Wijk教授とは、次年度に予定している渡航準備や研究計画について電子メールで数回にわたりやり取りを行った。また具体的な実験は行わなかったが、関連する文献の調査等はおこなっており、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では「葉緑体オートファジーの選択性に関わる分子実態とその生理的重要性の解明」を目的に、以下の項目について国際共同研究により行う。そのうち項目1については次年度9月より通算で11か月間米国コーネル大学Klaas van Wijk教授の研究室を訪問し実験を行う。 1. 共免疫沈降法とLC-MS/MSによる葉緑体オートファジーに関わるレセプターの同定 2. 光照射下でもRCB形成が抑制されない変異体の単離と原因遺伝子座の同定 3. 植物の発達プロセスとしての葉の老化におけるオートファジーの役割の解析
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