2018 Fiscal Year Research-status Report
ブタにおけるニパウイルス病原性発現機序の解析と予防法の開発(国際共同研究強化)
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15KK0274
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米田 美佐子 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (40361620)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | ニパウイルス / アクセサリータンパク / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ニパウイルスのアクセサリータンパクと相互作用する宿主因子の探索を行った。ニパウイルスの病原性発現に強く関与するVタンパクは微小管構成タンパクと結合し、細胞内を輸送されることを見出した。また、Cタンパクについても解析し、相互作用する候補因子を複数見出したが、それらをそれぞれノックダウンした細胞においてウイルス増殖能を比較したが、ウイルスの増殖には影響がなかった。 また、ブタ細胞でのニパウイルス増殖において、V、Wタンパクの影響を調べた。VまたはWタンパクを欠損させたウイルスをブタ培養細胞やPBMCに感染させたところ、W欠損ウイルスは野外株と同等の増殖を示したものの、V欠損ウイルスはその増殖が抑えられることが明らかとなった。また、Vタンパクはブタの細胞において1型インターフェロンの誘導を阻害することも明らかとなった。 また、ブタヘルペスウイルスを用いた2価ワクチンを作出した。PRV自体の病原性を減弱するために、PRV遺伝子中のチミジンキナーゼ(TK)遺伝子領域を相同組換えにより欠損させたrRPVを作出し、免疫誘導抗原としての有用性を確認しているNiVのG蛋白を発現する組換えPRV(rPRV-NiVG)を用いて、これをブタに接種した。このワクチンを摂取したブタでは、ニパウイルスGタンパクに対する血中抗体価の上昇が確認された。そこでさらにニパウイルスを用いた攻撃試験を行ったところ、ワクチンを接種したブタでは非免疫群と比較して、体重や体温変化などの臨床症状が軽減し、さらに鼻スワブ中のウイルス排出量の低下も認められた。これらの結果から、本ワクチンの有効性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニパウイルスの病原性に関与するアクセサリータンパクの機能解析を進め、これまで知られていないVタンパクの細胞内での挙動および機能を明らかにすること が できた。またブタにおけるアクセサリータンパクの病原性への関与についても明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ブタを含めた動物種間でのニパウイルスに対する細胞性免疫の分子機序の違いについて解析を進める。また、組換えワクチンの効果についても、より詳細な解析を進める。
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