2018 Fiscal Year Research-status Report
イネの初期胚をモデルとした細胞分化機構の理解と形態形質改変への利用(国際共同研究強化)
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15KK0279
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
佐藤 豊 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 教授 (40345872)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | トウモロコシ / 胚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本国際共同研究は、科研費基盤研究(B)「イネの初期発生をモデルとした細胞分化機構の理解と形態形質改変への利用」を国際共同研究によりさらに発展させることを目指している。具体的には、イネ以外の植物を材料に初期胚における細胞分化機構を解析し、その種を超えた普遍性を検証することを研究目的とする。本国際共同研究により、植物の発生機構の進化を考える上で、鍵となる重要な知見をもたらすことが期待できる。本国際共同研究の目的を達成するためには、イネと同じイネ科に属しており、分子遺伝学的な実験材料としてよく整備されているトウモロコシを研究材料に用いることが最適である。そこで、本研究では、トウモロコシの変異系統集団から、イネの胚発生変異体と類似した系統を選抜し、その解析を通して、イネ科植物の初期胚の細胞分化機構の普遍性と特異性を明らかにする。本国際共同研究では、トウモロコシの変異系統の蓄積がある米国の研究者と共同研究を行う。研究代表者は研究期間中に複数回米国に滞在し、変異体のスクリーニング並びに、トランスポゾンタギング法による原因遺伝子の単離を行う。本年度までに複数の変異体を単離した。このうちの約30系統について、Muトランスポゾンとの連鎖を解析する材料の育成を行なった。さらに、各個体からゲノムDNAを抽出し、NGS解析のためのライブラリー作成も行なった。本年度は、上記ライブラリーをNGS解析に供し、その結果を国内に送付してもらい解析した。その結果、複数の胚形成を制御する新規因子の候補を得た。この中から、Muトランスポゾン変異ライブラリのデータに対立遺伝子変異がある系統に着目して、表現型の解析を行うための材料を育成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の他の業務等の関係で、本年度は渡米できなかった。その分、現地研究者に播種・サンプリングを依頼したり、NGS解析用のデータを送付してもらうなどして、研究を進めたものの、依頼できる作業にも限界があり当初の計画よりやや遅れている状況になった。具体的には、当初計画にあったトウモロコシからの胚形成制御因子の候補が単離できたものの、その検証作業が遅れている。また、変異体の表現型解析についても、サンプリングまでは行ったが、顕微鏡下での観察ができていないため、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
突然変異の候補遺伝子が明らかになったので、トウモロコシでの対立遺伝子探しやイネでのオルソログ遺伝子の機能解析を行い、候補遺伝子の機能を検証する。また、変異体の表現型を詳細に解析する。
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Research Products
(6 results)