2019 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of the process of rice domestication based on loss of seed shattering(Fostering Joint International Research)
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15KK0280
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石川 亮 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (70467687)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | イネ / 栽培化 / 脱粒性 / 植物考古学 / 植物遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの作物において、種子脱粒性の喪失は栽培化初期に選抜対象となった重要な形質である。イネにおいても、脱粒性をもたらす種子基部の離層形成に異常の生じた変異が選抜されたと考えられ、脱粒性を支配する2つの主要遺伝子座(qSH1とsh4)がこれまでに報告されている。また、qSH3座における変異も重要な役割を果たした可能性がある。これら3遺伝子座と他の未知の変異がイネの脱粒性の喪失にいつどのように関与したかについては時系列的な情報が乏しい。本研究では、脱粒性の喪失に関与した遺伝子変異を探索・追跡することで共同研究先の植物考古学研究者らとイネの栽培化過程について相互考察するために基礎的知見を獲得することを目的とした。 平成30年度の滞在に引き続き、平成31年4月16日までロンドン大学考古学研究所に訪問研究員として在籍し、イネの栽培化における植物考古学を専門とする共同研究者と栽培化形質の比較について議論を行った。平成31年1月22日にはオックスフォード大学の考古学研究所を訪問し、研究成果を発表するとともに関連分野の情報収集と議論を行った。また、イネ遺物からのDNA抽出法の検討のためWarwick大学にも定期的に訪問し、共同研究者の所有する専用のDNA解析実験室で行った。さらにイネの栽培化における形質評価の重要性について概説した総説論文を執筆した。 また、種子脱粒性の低下に関与した未知の遺伝子座の効果検証を進めているが、候補となる領域は染色体の約半分を超えるなど領域と想定した以上に広く候補領域の限定化において困難な状況となっている。このため実験材料の再調整を進め、野生イネを遺伝背景として持つ実験系統を整備し、それらの脱粒程度の測定と遺伝子型情報から候補となる領域について再評価を行った。また、イネの栽培化に関連した変異を迅速に検出するための次世代シーケンサーを用いた実験系の構築を進めた。
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Research Products
(5 results)