2016 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子組換えイバラキウイルスを用いた二本鎖RNAウイルス感染・複製機序の解明(国際共同研究強化)
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15KK0281
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松尾 栄子 神戸大学, 農学研究科, 助教 (40620878)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 二本鎖RNAウイルス / VP6 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、IBAV、BTV、AHSVのVP6で共通点と相違点について検討した。特に、これまでの研究で明らかとなっている、VP6のループ領域とVP3結合領域について解析を行った。アミノ酸配列の比較の結果、3種のウイルス種間でループ領域のアミノ酸相同性は低かったが、荷電されたアミノ酸が多く存在していることが明らかとなった。また、VP3結合領域はオルビウイルス間で保存されており、さらに異種間でもVP3とVP6は結合することが分かった。しかし、異種のVP6は機能的ではなく、VP3結合領域に変異を入れ、複製能力を欠損したウイルスを異種のVP6を発現した細胞に感染させても複製能力を補完することは出来なかった。また、ウイルス粒子中に、異種のVP6は取り込まれるが、ウイルスRNAは取り込まれなかった。そこで、ループ領域の多様性が、ウイルスゲノムの選択的取り込みに関与している可能性を調べるため、新たに開発したplasmid baseのIBAV遺伝子改変法(RGシステム)を用いて、IBAV VP6のループ領域をBTVやAHSVのループ領域と入れ換えた変異IBAVを作製した。この変異IBAVは、複製能力を欠損しておらず、ループ領域はゲノムの選択性に関与していないことが分かった。さらに数種類のループ領域欠損IBAVを作製したところ、ループ領域のアミノ酸の種類は重要であるが、配列そのものの重要性は低いことを示唆する結果を得た。 次に、VP6の粒子中での構造を詳細に解析するために、VP6のみを粒子中に取り込ませるため、構造維持したまま、ゲノムの取り込み機能のみを欠損したVP6を持つIBAV様粒子およびBTV粒子の作製に成功した。 最後に、AHSV、BTVのNMuLi細胞での増殖性を調べたところ、いずれのウイルスもIBAVと同様にNMuLi細胞では増殖が抑制されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、H28年度は、半年のみの渡英予定だったが、ビザ更新や急遽行われることになったH29年度の講義のため、 H29年度に予定されていた渡英予定を前倒しにした結果、H29年度に予定していた英国での研究にも着手することができた。同時に、IBAVの研究も英国にて進めることができたため、動態解析は行えなかったが、最終的には予定どおり順調に研究を行えたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度はまず、H28年度に予定していた IBAV感染時におけるVP6の動態を解析に着手する。また、短期間渡英し、クライオ電子顕微鏡観察のためのBTV様粒子の精製に着手する予定である。また、科学研究費助成事業若手B(H27~H29年度)の研究課題で探索中のNMuLi細胞でのIBAVの増殖阻止に関わる因子が、オルビウイルスの増殖にも共通して関わっているかを解析する。
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Research Products
(4 results)