2019 Fiscal Year Annual Research Report
the study of pathogenicity of Ebola virus disease using reverse genetics system(Fostering Joint International Research)
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15KK0291
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津田 祥美 北海道大学, 医学研究院, 講師 (70447051)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | ウイルス / 病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
エボラウイルスに感染すると免疫抑制傾向、全身性炎症反応に加えて血液凝固系の破綻を起こし、全身性ショックにより死に至る。これまでの研究からエボラウイルスの主要標的細胞がマクロファージや樹状細胞などの単核性食細胞系であるとされているが、これらの細胞がエボラウイルス感染の致死的病態にどのような役割を果たしているか、また致死的病態にどのように関与しているのかは未だ不明である。本研究ではmicroRNAを利用してマクロファージや樹状細胞特異的に増殖が抑制された組換えウイルスを作出し、マウスモデルにおける感染実験を行なった。その結果、マウスに致死的な病原性を示す親株と異なり組換えウイルスは病原性が減弱していることが確認された。 マクロファージや樹状細胞特異的に増殖が抑制された組換えウイルスを感染したマウスでは感染初期における腹腔内マクロファージでのウイルス増殖が抑制されることにより、標的臓器でのウイルス増殖が抑制されていた。また、血中に誘導されるサイトカイン、ケモカインの産生は致死的病原性を示す親株を感染させたマウスより遅れて検出された。誘導されるサイトカインやケモカインは誘導される日数は異なるもののその種類に違いは見られなかった。一方で脾臓細胞をフローサイトメトリーにより解析した結果、感染後期にあたるウイルス接種後7日目において組換えウイルスを感染させたマウスではCD8+T細胞の増加が確認された。すなわち、感染初期における標的細胞であるマクロファージでのウイルス増殖を抑制することにより全身へ広がるウイルス増殖、および全身性炎症反応を抑制し、マウスの生残に重要である獲得免疫の誘導が可能となった可能性が示唆された。これらの結果は、エボラウイルスの致死的病態に関連する因子の解明へ重要な知見となると期待される。
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Research Products
(1 results)