2016 Fiscal Year Research-status Report
慢性的低酸素環境において遺伝子発現を決定する選択的転写機構の解明(国際共同研究強化)
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15KK0298
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中山 恒 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (10451923)
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Project Period (FY) |
2016 – 2017
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Keywords | 低酸素応答 / CREB / 転写 / 染色体構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は基課題である基盤研究Cの研究成果である慢性期の低酸素環境でCREBを介して発現が上昇する遺伝子群の染色体構造を明らかにすることをめざして2016年9月より国際共同研究として着手した。まず、CREBの標的遺伝子を野生型とCREBを構成的にノックダウンした株(CREB-KD細胞)の遺伝子発現様式を比較することで、網羅的に同定した。次に、これらの遺伝子群に関して、データベースを用いたプロモーター解析を実施して、CREB結合配列の存在の有無を指標にして、CREBの直接標的群とCREBの間接標的群に分類した。この分類にしたがって本研究の基盤技術である新技法HIPMap法のプローブを、専用のアルゴリズムを用いた設計プログラムを使用して、デザインした。国際共同研究先である米国の研究機関に渡航後は、デザインしたこれらのプローブを合成して、PCR法により増幅したのちに、精製し、調製した。さらに、調製したプローブを用いてHIPMap法を実施したところ、核内における複数の遺伝子の配置を同定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模な遺伝子発現データの解析を実施して、そこから得られた情報に基づいて、新技術に必要なプローブの設計を完了した。また、国際共同研究先に渡航して、同研究室が開発したHIPMap法のプローブを合成して、これらが細胞内での遺伝子の位置情報を得るのに利用可能であることまでを明らかにすることができた。ここまでを完了したことで、これからの大規模解析に必要な技術の土台を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
乳がん細胞株MDA-MB231細胞を材料として用いて、通常酸素と慢性的な低酸素環境を比較しながら、HIPMap法を用いた大規模な遺伝子の空間的な位置情報の取得実験を推進する。次に得られた実験データを共同研究先で開発された解析プログラムを用いて解析して、酸素の濃度により遺伝子配置が変動する可能性を検証する。さらに、そこで変化が認められた場合には、その原因となる分子機構に関して、siRNAを用いたノックダウン実験を用いて検証する。
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Research Products
(2 results)