2018 Fiscal Year Research-status Report
発達期バレル皮質の神経回路形成におけるカンナビノイド依存性シナプス可塑性の役割(国際共同研究強化)
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15KK0318
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
伊丹 千晶 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90392430)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | 大脳皮質 / 体性感覚野 / バレル皮質 / カンナビノイド / CB1受容体 / 臨界期 / スパイクタイミング可塑性 / Tetrahydrocannabinol |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質の臨界期のメカニズムを明らかにするために、以下の点を明らかにした。 (1)臨界期には、プレポストの発火タイミングに依存するタイミング可塑性(STDP)が重要であることが示されていたが、出生直後の視床→L2/3細胞には強化型STDP-LTPのみが出現し、その後、弱化型STDP-LTDに変化していった。このとき皮質内L4→L2/3細胞では、強化型STDP-LTPのみが発現していた(J.Neurosci, 2012)。VB-L2/3におけるSTDP-LTDの誘導は、L4-L2/3におけるSTDP-LTPを誘導することを示した。この時期、視床-皮質投射では緻密化が、4層-2/3層投射では過形成が起こる。よって、異なる経路のSTDPが協調して回路形成が進む可能性を示した(Eur J Neurosci, 2016)。(2)L4→L2/3におけるSTDP-LTDは、カンナビノイド(CB)依存性であることが示されていたが、視床→L2/3、L4→L2/3投射のいずれのシナプスでもCBを介し、内因性カンナビノイド(eCB)がカラム様投射領域の制御に重要である事を明らかにし(J.Neurosci, 2016)、これら一連の成果はreviewとして発表した(J. Neurosci, 2019, Viewpoints)。(3)eCBは、視床→L2/3、L4→L2/3細胞において軸索の投射領域を変化させる。正常発達では、L4→L2/3細胞は、余分な軸索を刈り込むことによりカラム様投射を形成する。今回インディアナ大学との共同研究では、外因性にカンナビノイドTetrahydrocannabinol,THCを投与することにより、L4→L2/3細胞の軸索投射が変化するかどうか検討した。予想通りの結果が得られ、THC投与により軸索が短くなり、eCBには軸索を刈り込む作用があることが確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インディアナ大学との共同研究により、外因性Tetrahydrocannabinol,THC 投与実験の結果は我々の予想を指示するものだった(予想通りの結果が得られた)。
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Strategy for Future Research Activity |
現在論文投稿中である。リバイズ際、追加実験が必要な可能性が高く。その際は、再度インディアナ大学で実験を行う必要がある。
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