2016 Fiscal Year Research-status Report
抗癌剤抵抗性骨肉腫に対する新規治療法の開発(国際共同研究強化)
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15KK0319
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
窪田 大介 順天堂大学, 医学部, 助教 (70638197)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 骨肉腫 / 化学療法抵抗性 / バイオマーカー / リン酸化 / チロシンキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
骨肉腫は小児・若年者に好発する悪性骨腫瘍の代表的疾患であり、希少癌の一つである。化学療法の導入により骨肉腫の予後は改善されてきたが、化学療法抵抗性の骨肉腫患者の予後は5年生存率が30%以下といわれ、依然として不良である。そこで申請者は骨肉腫の予後改善を目指し、治療抵抗性・悪性化のメカニズムを解析し、その結果に基づいたバイオマーカーおよび新規治療標的の開発を進めてきた。 今年度は本国際共同研究を行うにあたって、骨肉腫の臨床検体を用いた発現解析に基づき、治療抵抗性・悪性化のメカニズムについての検討を行い、その結果に基づいたバイオマーカーおよび新規治療標的の開発の準備を進めてきた。現在までに骨肉腫の化学療法抵抗性を規定する分子(タンパク質・miRNA)を同定し、骨肉腫細胞株を用いた機能解析および新規治標的としての有用性について検討を実施している。特に骨肉腫におけるリン酸化タンパク質の異常や抗酸化タンパク質の発現異常に注目し、その小分子化合物の抗腫瘍効果を確認した。 今後は、更にnano stringなど新たな網羅的解析手法も導入し、骨肉腫の治療抵抗性のメカニズムの解明をすすめていく予定である。そして、国際的に骨肉腫のバイオマーカーおよび新規治療法の開発を行い、臨床応用を目指す。バイオマーカーにより治療抵抗性の骨肉腫を選定し、その分子病態に応じた新たな治療戦略を策定することにより、骨肉腫の治療成績の向上が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年7月から、米国のMemorial Sloan Kettering Cancer Centerへの渡航を予定している。今年度は本国際共同研究を行うにあたって、現在までに得られた研究成果を整理し渡航および国際共同研究の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本国際共同研究により、希少癌の代表的疾患である骨肉腫の新規バイオマーカーの確立、および治療抵抗性骨肉腫に対する新規治療法の確立のための基礎研究が加速的に発展し、難治性の骨肉腫患者の生命予後の改善が期待される。希少癌においては、症例の少なさ、および小規模な経済規模を理由に、患者の予後改善を目指した基礎研究・臨床研究が世界的に進んでいない。バイオマーカー研究および新規治療法の臨床応用の為には大規模な臨床での検証試験が必須であり、国際共同研究を行うことが重要である。そこで本国際共同研究により大規模な基礎研究および臨床に直結した新規治療法開発を行うことが期待される。 研究内容としては、現在までに同定した骨肉腫のバイオマーカー候補についての大規模な発現検証を行い、またnCounter Analysis Systemなどの新規解析法を用いたバイオマーカー、治療標的分子の探索も進める。また治療標的候補については骨肉腫細胞株を用いて抗腫療効果を検討する。また本研究で得られた骨肉腫の発現解析情報は骨肉腫研究の国際的な発展のためにもデータベースを作成し公開する予定である。
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