2017 Fiscal Year Research-status Report
新規脂質メディエーター・12-HHTの生理機能と病態における役割の解明(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0320
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
奥野 利明 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60361466)
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Project Period (FY) |
2015 – 2018
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Keywords | 脂質 / リモデリング / ミード酸 / 脂肪酸飢餓 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、リン脂質リモデリングとエイコサノイド産生に関する研究の追加実験を行い、論文として公表することができた。 細胞のリン脂質の多様性は、ランズ回路による脂肪酸リモデリングによって維持されている。しかし、血清飢餓や枯渇によって細胞のリン脂質組成がどのように変化するかの詳細な研究はなされていない。マクロファージ由来細胞株RAW264.7細胞を培地交換無しに培養し、カルシウムイオノフォアで刺激したところ、アラキドン酸のシクロオキシゲナーゼ(COX)代謝物であるTxB2、PGE2、PGD2及び、5リポキシゲナーゼ(5LO)代謝物であるLTB4、LTC4、5-HETEの産生量が培養時間依存的に減少した。一方、20:3脂肪酸の5LO代謝物であるLTB3、LTC3、5HETrEの産生量は培養時間依存的に増加した。また、アラキドン酸を含むリン脂質は培養時間依存的に減少したが、20:3脂肪酸を含むリン脂質は増加した。パターノブチーノ反応を用いて脂肪酸の二重結合にアセトンを付加させ、質量分析計を用いて二重結合の位置を同定する手法(当該年度に方法論の論文を公表)を用いて、20:3脂肪酸がミード酸であることを明らかにした。さらにLPS刺激時のTNFalpha産生量は、24時間培養した細胞よりも72時間培養した細胞で増加していた。以上の結果は、脂肪酸飢餓時にランズ回路によってアラキドン酸からミード酸へのリン脂質リモデリングがなされ、細胞を刺激した時の脂質メディエーター産生や炎症応答を変化させることを意味している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂肪酸飢餓による脂質リモデリングがエイコサノイド産生に変化をもたらすことを明らかにし、論文としてまとめることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪酸飢餓時に細胞で何が起こっているか、さらに詳細な機序を明らかにする。
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