2015 Fiscal Year Research-status Report
ガン温熱化学療法に有効なナノキャリアの開発(国際共同研究強化)
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15KK0327
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森本 展行 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00313263)
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Project Period (FY) |
2015 – 2016
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Keywords | スルホベタインコポリマー / ナノキャリア / 細胞膜透過性 |
Outline of Annual Research Achievements |
来日中であったモントリール大学のウイニック教授と面談し、渡航期間の確認を行った。共著論文のアクセプトを受け、今後の展開についてスルホベタインポリマーと細胞との相互作用、特に細胞膜透過メカニズムについてのより詳細な解析が必要であること、ポリマー構造に加えポリマーへの蛍光色素の修飾法についても検討の余地があることを確認した。加えて、次年度早々の渡航に向けてスルホベタインをベースとした新規ポリマーの設計方向について議論し、またその合成方法についても意見を交換した。ウイニック教授との議論を受け、蛍光分子のスルホベタインポリマーへの修飾について検討するため、調製済みポリマーへの蛍光修飾について検討を行った。フルオレセインの修飾においては、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合による連鎖移動剤由来のカルボキシル基を用いた修飾よりも、アミノリシス反応によるポリマー重合末端の官能基化、続いて付加反応を行う修飾方法を用いることで細胞内への導入がより効果的であることを見いだした。またこの手法はランダムコポリマーのみならず、本研究のスタートとなっているスルホベタイン-PEGブロックコポリマーに対して利用することが可能であること、細胞内への効果的取込に寄与し得ることを見いだした。一方でマギル大学のメイシンガー教授ともコンタクトを取り、渡航後のなるべく早いタイミングで面談し、研究の展開方向について議論することで合意した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
渡航後の実験計画として、新規ポリマーの設計を行いその合成手順について検討していること、in vitro細胞との相互作用評価の時期を分けて行うことなど渡航前準備として十分な議論ができていること、また、渡航後の研究が円滑に進むよう実験条件検討を行うことができたことから、概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果より、スルホベタインポリマーがナノ会合体を形成するが非常に弱い会合体であることが示されている。その一方で末端構造が細胞内取込に影響を与えうることが示唆されている。この様な背景から、(1)両末端に疎水基を導入し、ナノキャリアとして安定な会合体を形成しうるテレケリック型スルホベタインポリマー、および(2)細胞内導入しうるペプチドを環状化することでその効率が増大させうることが示されており、また末端を排除するという観点から環状スルホベタインポリマー、をそれぞれ合成し、その細胞内取込み効果について検討したい。またスルホベタインポリマーの免疫効果について評価を行う。高分子合成についてはモントリオール大学で、生化学的評価はマギル大学で行う。近距離であるとはいえ、高分子合成と生化学評価という性格の異なった研究を当初より両立して行うことは困難であるとの観点から、最初の3ヶ月間は期間を半分に分けてそれぞれを集中して進めていくことを考えている。 これらの研究の合間にモントリオール近隣の大学での化学系の研究会やカナダ化学会の学術集会などへ積極的に参加し、国際ネットワークの形成を図っていきたい。
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