2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞死を伴う好酸球の脱顆粒メカニズムの解明と病態評価への応用(国際共同研究強化)
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15KK0329
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
植木 重治 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60361234)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | 好酸球 / ETosis / 脱顆粒 |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギーは、好酸球と呼ばれる白血球を主体とした炎症が病態を形成する上で重要な役割を果たしている。この中でも難治性の好酸球性炎症疾患の存在が世界的な問題になっており、メカニズムの解明が急務である。好酸球は細胞内に組織傷害性の強い蛋白を含有した顆粒を多数有しており、その内容を放出することで炎症を引き起こすが、その中でも細胞崩壊を伴う脱顆粒のメカニズムは長年の間、不明であった。最近、申請者等は好酸球の崩壊型脱顆粒のメカニズムが、自発的な非アポトーシス細胞死であるETosisであることを世界ではじめて見いだしている。 そこで、さらに細胞がこの細胞死の運命を決定する仕組みを詳細に明らかにするために、ヒト末梢血から分離した好酸球を用いてETosisのメカニズムに関する検討を行った。細胞内のシグナル経路を明らかにするため、MAP kinase, PI3 kinaseの各種の阻害薬でETosisが抑制されるかどうか検討した。また、形態学的にもETosisで認められる核の形態変化やDNA trapsの生成について電子顕微鏡を用いて検討した。また、免疫蛍光染色と共焦点顕微鏡を用いてETosisの特徴とされるヒストンのシトルリン化を検討した。 諸般の状況のため渡航準備に時間を要しており、本年度は補助金申請のための事務的な準備に主な労力を費やした。数日間、アメリカのハーバード大学/ベス・イスラエル・ディーコネスメディカルセンターの研究室を訪問し、渡航の打ち合わせと研究のディスカッションを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MAP kinase, PI3 kinaseの各種のシグナル阻害薬でETosisが抑制されることを確認した。形態学的にもETosisで認められる核の形態変化について電子顕微鏡を用いて検討し、活性酸素シグナルが抑制されるとピースミール型脱顆粒が起こることを見いだしており、細胞の機能・運命制御に重要であると考えられた。 長期間の渡航準備のために、不在の間の大学内での業務や事務的な手続きの調整、先方との共同研究の枠組み作りのために可能な準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、渡航のためのビザ取得の書類準備をベス・イスラエル・ディーコネスメディカルセンターの担当者、大学の事務部門ともに進める。渡航後速やかに研究を行えるように、末梢血好酸球を用いた予備検討を行う。今年度は、とりわけ生体内で起こっているETosisやDNA trapsの評価を可能にするため、生体材料を用いた免疫染色法の確立を推進したい。このため好酸球性炎症サンプルの収集とともに、最適なブロッキング法、抗体の選択を検討し、様々な組織や検体で多重染色によって再現性が高く、かつ効率的な方法を検討する。
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