2017 Fiscal Year Research-status Report
自閉症多発罹患家系の全エクソン解析に基づくリスク変異の同定(国際共同研究強化)
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15KK0339
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
江川 純 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (80648527)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / リン酸化プロテオミクス / 成長円錐 / シナプス画分 |
Outline of Annual Research Achievements |
成長円錐のリン酸化プロテオミクスにより同定された神経発達に重要なタンパクリン酸化部位のうち、自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder; ASD)のリスク遺伝子であるNLGN3遺伝子を選定して機能解析を進めている。GAP-43機能に最も重要と予測されるリン酸化部位であるSer41部位の変異(Ser41Ala)のヘテロノックインマウスを作成、それらのマウスを交配させホモノックインマウスを作成し、その全脳ホモジネートを作成した。GAP43野生型のマウスについても全能ホモジネートを作成し、抗GAP43リン酸化部位(pS41)抗体もしくは抗GAP43抗体を用いてイムノブロッティングによるタンパク定量を行った。その結果、GAP43自体の量に有意差はなかったが、pS41のリン酸化量はホモノックインマウスで消失していた。今後は同ノックインマウスの初代神経細胞培養を行い、免疫組織学的にGAP43_Ser41リン酸化タンパクの分布について確認する予定である。ヒトASD患者において同定され、in silico解析により遺伝子機能に強い影響を与えていると予測されたGAP43遺伝子のAsp23Gly変異のプラスミドベクターを作成した。この変異をHela細胞にリポフェクション法を用いて導入し、抗GAP43抗体を用いて免疫組織学的に観察したところ野生型GAP43を導入した細胞と比較して、GAP43の細胞膜への分布が減少しているという予備的な結果を得た。成体マウス4体からそれぞれ別に全脳ホモジネートとシナプトソームを作成し、NLGN3遺伝子のリン酸化部位の抗体(pS745抗体)でイムノブロッティングを行ったところ、ホモジネートと比較してシナプトソームに強い集積が確認された。さらにラットの培養神経細胞をpS745抗体で免疫染色したところ、軸索先端が強く染色され、このリン酸化が軸索先端およびシナプスの両方で強く発現していることが確認された。 、
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
米国長期滞在のためのJ-1ビザ取得が困難であり、大変時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年3月にマイアミ大学のLemmon教授の研究室に滞在し、研究計画についてディスカッションを行った。High Content Screeningの技法を用いて自閉症の病態に関わるとされているニューロン(主にシナプス)やミクログリアの形態マルチパラメータの化学物質ライブラリーによる変化を確認し、ミクログリアの変化及びそれがシナプス形成にどのような影響を与えるのかを網羅的に探索することとした。2018年8月もしくは9月に渡米し実験を開始する予定である。
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Research Products
(2 results)