2016 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病の根治を目指した免疫制御治療の新戦略(国際共同研究強化)
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15KK0355
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
平井 敏仁 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70722693)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 免疫寛容 / 移植片対宿主病 / 調節性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Invariant Natural Killer T細胞(iNKT細胞)は免疫制御を担当する自然免疫細胞である。iNKT細胞が移植免疫寛容の成立において重要な役割を果たすことが報告されているが、逆にiNKT細胞の免疫制御能を利用した疾患治療モデルは未だ確立していない。我々はこれまでの研究で、liposomal formulation of α-galactosylceramide (lipo-aGC)を骨髄移植レシピエントに投与することで、レシピエントiNKT細胞を活性化し、軽い前処置であってもドナー骨髄が生着するマウス骨髄移植モデルを確立している。平成28年度の本国際共同研究では、共同研究者であるStanford大学Negrin研究室、およびStrober研究室の実験モデルを使用し、骨髄移植レシピエント、あるいはドナーマウスのiNKT細胞を活性化することで骨髄生着の促進、または移植片対宿主病(Graft versus host diseases; GvHD)の予防効果が得られるかどうかを検証した。 これまでの研究では、骨髄ドナーマウスにlipo-aGCを投与すると、投与3日後には脾臓T細胞中のiNKT細胞の割合が2-5倍に増幅することが確認された。さらに、このlipo-aGC治療ドナーマウスからの移植された場合、未治療ドナーから移植された場合に比べ、有意に骨髄移植後の生存率が改善することが判明した。Lipo-aGC治療により増殖したiNKT細胞はPD1, ICOS発現増強、IFNg, IL4の産生能増強などの活性化を伴っていた。この増殖iNKT細胞が、未刺激状態のiNKT細胞同様の免疫制御能を伴っているか否かを確認するために、未刺激、およびlipo-aGC刺激マウス脾臓T細胞よりiNKT細胞を抽出し、骨髄移植時にレシピエントマウスに移入したところ、ほぼ同等のGvHD抑制作用が確認された。以上より、lipo-aGCによるドナー前処置が骨髄移植の成績を向上させる可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年9月よりStanford大学に着任、recipientのiNKT細胞を活性化する再現性試験を実施し、我々の実験系が共同研究者R. Negrin研究室において再現可能であることが確認された。さらに、ドナーiNKT細胞活性化プロトコールを検証した試験においてもGvHDが予防できる可能性が示唆されており、これを元に末梢血幹細胞移植モデルでの検証を開始した。同時並行してStrober研究室との共同研究を開始し、iNKT細胞の活性化が彼らの免疫寛容誘導プロトコールにおいてもドナー骨髄細胞の生着を促進させるか検証を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
追蹤実験を行いデータの信ぴょう性を評価した後、その機序解明を進める。Lipo-aGCのレシピエント投与に関しては臨床試験が進行中であるが、donorへの前処置を実現するには新たな臨床試験を準備する必要がある。3rd party donor iNKT細胞が機能するかどうかを確認した後、iPS細胞などから作成したiNKT細胞を利用した治療ストラテジーを検証するための新しい共同研究についても模索する。
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