2016 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜分子動態数理モデリングによるがん悪性化メカニズムの解明
Project/Area Number |
15KT0016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 貴 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40114516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 秀二 岩手大学, 理工学部, 准教授 (10282922)
村上 善則 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30182108)
越川 直彦 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所がん生物学部, 部長 (70334282)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2017-03-31
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Keywords | 数理腫瘍学 / 数理モデリング / 細胞分子動態 / 細胞接着 / ECM分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞悪性化および悪性伝播の分子レベルのメカニズムを,生物医学の問題として解明する事を目指した.その結果NFkBによるシグナル伝達, Metによる薬剤耐性獲得機序, 骨代謝モデルにおける動的平衡崩壊のメカニズムを理論的に明確に解明することができた. 基本的方法としては,数理モデリングという数理解析法の適用である.がん細胞悪性伝搬の分子レベルでのメカニズムは極めて複雑で, これまで生物医学の問題として難題と言われてきたが,生物医学的定性的解析と数理科学的定量的解析の相互フィードバックにより僅かずつ歩を進めた.従来は,細胞核での遺伝子変異を調べようとする,遺伝子解析が主な研究対象であったが,本課題では,最新の研究成果を踏まえて,がん細胞悪性化および悪性伝播を引起こすシグナル伝達系を対象とし, 数学的方法で上記の騎乗を解明した.さらにデータを用いて,細胞膜上で受容体が受けたシグナルが細胞膜内分子へ伝達され、細胞膜内で複数のシグナル伝達系統のクロストークを経て悪性化したシグナルが細胞膜へ再びフィードバック遡上する経路(下流分子経路),および,遡上してきたシグナルが細胞膜上に存在する隣接細胞との接着剥離分子を通じて悪性を伝播してしまう経路(上流経路)を数理モデリングし, さらに数学解析を用いて生命動態の本質を解明することを試みた.これらの試みによって, 少数のパラメータと次元解析によってモデルを定量化すること, 生命動態を空間的に分布したイベントとして記述したうえで, 揺らぎを含む有効な計算法などの新しい数理的手法も開発した.
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