2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of spontaneous multi-scale pattern formation during develop,ment
Project/Area Number |
15KT0018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 岳 九州大学, 医学研究院, 教授 (10324617)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 自発的パターン形成 / スケーリング則 / 頭蓋骨縫合線 / 網膜血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の構造の中には自発的にフラクタル構造をとるものがある。フラクタル構造では、計測の単位長さと計測量であるスケーリングが成り立つことが知られている。これまで、ボックスカウント法などの簡便な手法を用いて次元の計測のみは行われてきたが、なぜその様な特性を持つのか、そのメカニズムは不明なままだった。今回我々は、生命現象のスケーリングに関して、網膜血管と頭蓋骨縫合線で二つの異なるメカニズムを用いたモデリングを行なった。 まず、網膜の動脈の樹状構造では、セグメントの太さと数の間に一定のスケーリング則が存在することを計測によって示した。次に、動脈の太さのルールとして、流体を流すエネルギーと血管の体積維持のエネルギーの輪を最小化してできるMurray則(分岐全と分岐後で、血管径の三条輪が等しい)が成り立つことを示した。最後に、樹状構造が先端の均等二分岐で生じると仮定すると、血管セグメントの太さと数の間に計測されたスケーリング則が成り立つことを示した。 次に、頭蓋骨の縫合線の湾曲構造については、確率編微分方程式を用いた定式化を行った。これまで我々は既知の分子間相互作用をうまくまとめて、あるパラメータ領域では自発的パターン形成がによって湾曲構造を作ることを示した。しかし、頭蓋骨の縫合線はフラクタル構造をとると言われているが、この性質はこれまでのモデルでは再現できない。我々はまず、既知のモデルをさらに縮約して線形部分のみに落とした。さらに、自発的パターン形成を起こさないパラメータセットで、遺伝子発現に時空間的な揺らぎがあると仮定してノイズ項を導入した。結果として支配方程式は、Edwards-Wilkinson方程式の拡散項部分をモデル由来の線形オペレータに置き換えた形のものとなり、標本平均のパワースペクトルでスケーリングが生じうることを解析的に示した。
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