2016 Fiscal Year Research-status Report
双対走化性をもつ流体型移流拡散モデルの構築と走化性ダイナミクスの解明
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15KT0019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉山 由恵 九州大学, 数理学研究院, 教授 (60308210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保原 禅 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 教授 (00221937)
齊藤 宣一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (00334706)
仙葉 隆 福岡大学, 理学部, 教授 (30196985)
永井 敏隆 福岡大学, 理学部, 非常勤講師 (40112172)
手老 篤史 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (60431326)
桑山 秀一 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40397659)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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Keywords | Fokker-Planck方程式 / Langevin方程式 / Keller-Segel系 / 走化性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,細胞性粘菌等の細胞運動を統計解析に基づいて,化学運動性を考慮した確率微分方程式モデル(一般化されたLangevin方程式)を構築することを目標の一つとしている.先行研究として実験観測動画・実験データに基づいた統計解析により導出された確率微分方程式モデルがある(Selmeczi&et.al.,2005 等).モデルの妥当性の検証には,確率微分方程式モデルの数値シミュレーションと観測実験との合致を検証することが有効である.そこで,平成28年度には,細胞性粘菌の運動軌跡の観測実験を撮影する技術を持つ研究分担者と日本細胞性粘菌学会時に研究うち合わせを行った.更に,同分担者が所属する日本細胞性粘菌学会で特別講演を行い,同研究分野の最先端の研究者から助言を得ることが出来た.研究推進のため,平成29年度には九州大学数理学府の学生を実験施設に派遣し,細胞性粘菌の走化性実証実験を行うことを予定している. 更に,確率論的アプローチでKeller-Segel系を導出するという研究テーマで多くの業績を挙げている共同研究者と連携し,モデル構築に向けた議論を進めている.加えて,偏微分方程式モデルの妥当性の指標に適切性問題の確立に向けて,Keller-Segel系の爆発解の挙動について精緻な解析を進めた.結果,平成28年度には,現象を「統計解析に基づく実験生物学」と「数学」の両視点から解析し,数学モデルで単統一化された原理を提案しようとする研究に進展があった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験観測にデータ取得は数学解析(偏微分方程式論)を専門とする研究者には容易ではない.平成28年度には研究分担者との連携に成功し,モデル構築の成否を分けるデータ取得に向けて大きく前進した.更に,専門分野とは異なる「確率微分方程式」に関する知見を深 めることにも成功している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度には,実験観測を進め,データに基づく数理モデル構築を試みる.同過程では数理統計の知見を必要とするが,連携研究者と協力して進めていくことが出来る.また,構築された確率微分方程式から偏微分方程式への変換を試みつつ,随時,数値実験を用いた妥当性検証を行う.
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Causes of Carryover |
研究が順調に進み,旅費の支出を抑えることが出来たため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在の進展状況を更に促進するために,招聘研究を行う旅費に充当する.
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