2018 Fiscal Year Research-status Report
微生物・植物の硫黄代謝改変による有用物質生産・作物生産改善
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15KT0028
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大津 直子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40513437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 祐介 筑波大学, 生命環境系, 助教 (40558029)
大津 厳生 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60395655)
丸山 明子 九州大学, 農学研究院, 准教授 (70342855)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2020-03-31
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Keywords | 硫黄 / チオ硫酸 / 大腸菌 / 酵母 / シロイヌナズナ / イネ / サルファーインデックス |
Outline of Annual Research Achievements |
<植物>これまでの、シロイヌナズナ及びイネにおけるチオ硫酸に対する応答についての解析結果を論文としてまとめ、Plant and Cell Physiology誌に投稿した。新たに栽培時の写真、全炭素、全窒素、全硫黄のデータを加えることを審査の課程で求められ、それらのデータ採取を行い、再投稿した。2019年4月に受理された。 植物体における含硫化合物の蓄積を野生型株とSULTR1;2欠損株(1;2KO)で比較した。1;2KOのどの部位でも硫酸イオン量やグルタチオン量が減少するのに対し、種子内のグルコシノレート量は1;2KOでも維持されることを見出した(発表論文)。 硫黄欠乏に応じた代謝変換を司る転写因子SLIM1がカドミウム処理時の硫酸イオン吸収の増加、ファイトケラチンの蓄積、に寄与することを明らかにし、論文を投稿した。現在修正を行っている。 様々な硫黄源を与えて育成した植物について、グルコシノレート量に及ぼす影響を解析した。これまでの解析結果と合わせ、論文作製を予定している。 <微生物>本研究で見出したチオ硫酸塩を利用する新規な代謝経路を発見し、その応用として16.5 g/Lのシステイン発酵生産に成功した。また、そのシステイン生産大腸菌を活用すべく新規なシステインを基質とするバクテリア由来のEgtBを発見し、2ステップでエルゴチオネインを合成することを見出した。世界で最初にグラムスケールのERGの発酵生産(2 g/L)にも成功した。また本研究でも活用したサルファーインデックスの特許化に成功し、すでに社会実装を果たした。次に、エルゴチオネインの工業生産を目指す。 また、サルファーインデックス解析系を発展させるべく、システインを含むジペプチド類の検出を検討し本解析法に追加した。現在、本課題の支援も含む成果として、原著論文を投稿した段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの、シロイヌナズナ及びイネにおけるチオ硫酸に対する応答についての解析結果について、追加実験を行い再投稿したところ、Q1ジャーナルであるPlant and Cell Physiology誌に2019年4月に受理された。また硫黄吸収をつかさどるSultr1;2や、硫黄代謝経路遺伝子の転写因子であるSLIM1についても、硫黄代謝や重金属耐性とのかかわりについて、新たな結果が得られた。 また微生物については、サルファーインデックスの特許化を果たし、エルゴチオネイン工業生産への道を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ論文として投稿できていないデータについて、2019年度論文を作成して投稿する。
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Causes of Carryover |
2019年3月時点で、主要なデータにより投稿した論文がリバイスの状態となっていたために、研究期間を次年度まで延長した。幸い2019年4月22日に受理となり、まずこの論文の掲載料に使用する。 また、その他の未発表データについても2019年度中に投稿予定であり、そのための投稿料や、追加実験のための経費として使用する。
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Research Products
(22 results)