2015 Fiscal Year Research-status Report
水産資源の次世代型順応的管理モデル:「遺伝子集団モニタリング」技術の開発と実践
Project/Area Number |
15KT0034
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山田 明徳 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (40378774)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 裕一 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (90392117)
村田 昌一 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (70371846)
|
Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2019-03-31
|
Keywords | 遺伝的多様性 / 資源変動 / マアジ / マサバ / 集団 |
Outline of Annual Research Achievements |
水産資源を長期的・持続的に利用するためには、資源量の変動要因を正確に把握し、適切に管理することが課題である。そこで本研究では、これまでほとんど考慮されていないが資源変動と密接に関係する遺伝的多様性に着目し、主要魚種集団についてその地域的・時間的な特徴と資源変動との関係を明らかにすることを目的としている。 本年度は、主として長崎県新三重漁港で水揚げされた「対馬暖流系群」のマアジ・マサバを対象としてミトコンドリア遺伝子を解読し、既存の配列と比較することで、遺伝的多様性の解析を行った。その結果、マアジとマサバではともに遺伝的な多様性が非常に高く(Haplotype diversity (H) ≒ 1)、広い地域に渡って遺伝的に交流のある大きな集団を形成していることがわかってきた。集団の遺伝的な特徴や地域的な広がりを把握することは、資源を適切に管理する上で欠かすことのできない情報である。実際、漁獲量の制限などをして資源を守る努力をしたとしても、同一資源(遺伝的交流のある集団)を一方で乱獲しては意味をなさないことが容易に想像される。時間的な特徴として、集団の遺伝的な組成が短期的(季節的)には非常に安定していることもわかってきた。このような安定性は今後の中長期的変化を検出しやすくするものと期待される。 ミトコンドリア遺伝子だけでなく、ゲノム上の機能性遺伝子からも同様な解析をするため、ゲノム解析も行いつつあり、資源変動に関わる可能性のある遺伝子や、より詳細に集団構造を解析することが可能なマイクロサテライト等を今後加えて行く予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプリングやミトコンドリア遺伝子解析等は概ね順調に進展している。また、ゲノム解析もほぼ予定通りである。その一方で、多数個体を一度に解析する方法の検討に時間を要しており、来年度早々に検討を完了したいと思っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析を継続し、長期的にデータを蓄積するとともに、対馬暖流系群だけでなく、太平洋系群についてもサンプルを入手し解析していく。
|
Causes of Carryover |
価格の変動等により生じたものであり、年度末に無理に0に合わせるようなことをしなかった結果である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度の助成金と合算し、計画通りに執行する。
|