2015 Fiscal Year Research-status Report
歴史遺産と未来共生-武力紛争下の文化財保護・回復政策を通じた深層の平和構築の推進
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15KT0044
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
星野 俊也 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (70304045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石澤 良昭 上智大学, アジア人材養成研究センター, 教授・所長 (10124851)
Hawkins Virgil 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (10511040)
中内 政貴 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (10533680)
原本 知実 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, 研究員 (20558100)
日高 健一郎 東京藝術大学, アートイノベーションセンター, 客員教授 (30144215)
眞嶋 俊造 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (50447059)
富田 大介 追手門学院大学, 社会学部, 准教授 (70623809)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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Keywords | 文化遺産 / 平和構築 / 未来共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
武力紛争下にあって、人々の歴史や精神や魂の深層につながるアイデンティティを体現する文化遺産が、それがゆえに憎悪・敵対・否定の象徴として破壊や攻撃の対象となる動きを阻止する必要性は、本研究の問題提起の原点であり、本研究で得られたこれまでの研究成果を踏まえ、文化遺産の人類的な価値や平和構築に向けた努力の意義を再三にわたり強調しているが、現実の世界ではイスラム教スンニ派過激組織IS(イスラム国)による世界遺産を含む文化財破壊がエスカレートしている状況も見られ、ますます本研究の緊急性と重要性を実感している。共同研究メンバー各自による現地調査、文献研究、理論化の作業はその進捗の度合いに若干の差異はあるもののおおむね順調に推移し、定期的な研究会合を通じて互いの知見の共有も進んでいる。その際には、歴史学、文化財保存工学、建築学、国際安全保障学、政治経済学、倫理学、メディア学、芸術学の背景をもつ多彩な共同研究者の知識とノウハウを凝集し、未来志向の共生を通じた文化財保護を可能する道を探っていくこととなるが、すでに共同研究者間では「深層の平和構築」概念を歴史遺産保護を通じた未来共生秩序形成の操作概念とすることでコンセンサスが得られたことから、それを実現するための新たなアイデンティティ形成や他者・多文化尊重の意識化(特に脱専制化、脱過激化、非政治化の伸長)をいかに進めるかについて、それぞれの専門分野からのアイデアを出し合っている。また、政府の政策のみならず本研究グループがメディアやアート企画とタイアップして、いかなる具体的なプログラムを作り出すことができるかをも目下検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究会での研究代表者・分担者・連携研究者らの報告もほぼ一巡し、論点の見直しや洗い出しができたことから、さらなる現地調査、文献調査、理論的検討などを進めていく。本研究が文理横断の融合型研究である特質を最大限に引き出すため、「深層の平和構築」という概念を軸に複合領域を包含する視座を適宜更新していく。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、引き続き定期的な研究会合を続け、共同研究に参画する各位の専門分野からの知識・分析・現地調査の所見などを互いに共有するとともに、研究代表者を中心に「深層の平和構築」を通じた歴史遺産保護と未来共生秩序の形成のためのメニューづくりを議論する。その過程でメディアやアートがアイデンティティ形成や意識変革にいかなる建設的・否定的役割を果たしうるのかは、のちの政策提言や実践プログラムの策定に向けてあらかじめ理解を深めておくこととする。また、最終年度に向けて共同研究の成果を書籍にまとめるため、その準備を開始する。
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Causes of Carryover |
研究代表者が本務大学の理事・副学長(国際交流担当)に指名され、予定していた海外調査の一部の実施が困難となったことや、予定の東京出張や海外調査の経費は外務省などの別財源による支出で対応できたことが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
関連文献の収集、東京および海外での必要な調査実施、若手研究者による研究補助経費などに使用する。
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[Book] NAVIGATING CHANGE ASEAN-Japan Strategic Partnership in East Asia and in Global Governance2015
Author(s)
Rizal Sukuma, Yoshihide Soeya, Mely Caballero-Anthony, Chikako Kawakatsu Ueki, Kavi Chongkittavorn, See Seng Tan, Takashi Terada, Duong Anh Nguyen, Thanh Tri Vo, PDP Osman Patra, Ryo Sahashi, Elina Noor, Meidyatama Suryodiningrat, Djusman Simandjuntak, Toshiya Hoshino and other 9 authors
Total Pages
308(181-203)
Publisher
Japan Center for International Exchange
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