2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15KT0046
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
石田 信一 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (80282284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 宜弘 城西国際大学, 国際人文学部, 教授 (50187390)
中島 崇文 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (90386798)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2020-03-31
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Keywords | バルカン / 歴史教育 / 民族紛争 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.昨年度に引き続き、各自がバルカン諸国の学校教科書(歴史・地理・社会)を含む教育制度・教育事情に関する文献および紛争研究に関する文献の収集・閲覧を行いながら、歴史教育から見た紛争と和解の問題について、研究会(計4回)等を通じて情報の共有と論点の整理を行った。教育制度・教育事情については、なお制度改革が進行中の国々が多いものの、基本的な情報を整理することができた。一方、紛争と和解の問題に関する独自の分析の視角や方法論の確立には至っておらず、継続的な研究会の実施を通じて、そうした議論を深めていくこととした。 2.バルカン諸国の歴史教育問題の第一人者であり海外共同研究者でもあるクリスティナ・クルリ教授(ギリシア・パンテイオン大学)を招聘し、公開講演会(2016年11月19日)および専門家によるワークショップ(11月20日)を開催した。このうち公開講演会は東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構との共催イベント「歴史教育を通じた和解プロセス」の一部として実施し、研究成果の一般公開につとめた。 3.スロヴェニア、モンテネグロ、コソヴォ、マケドニア、ルーマニア、ブルガリア等の国々で現地調査を実施する中で、バルカン諸国で活動する研究者・専門家らとの広域的な研究ネットワークの形成を試み、一定の成果をあげた。 4.歴史教育を通じた和解の試みとして知られる「南東欧の民主主義と和解のためのセンター」によるバルカン史共通教材の続編が刊行されたことから、その精読および翻訳に取り組むこととした。上記ワークショップでは、こうした試みの狙いや問題点について、同書の編者でもあるクルリ教授と有益かつ具体的な意見交換を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画どおりに文献・情報の収集・整理および研究者・専門家との意見交換を含む現地調査を進めているほか、現地研究者を招聘した公開講演会およびワークショップを実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.研究会において先行研究や取り組みの紹介・分析を行い、紛争と和解の問題に関する新たな分析の視角や方法論の確立をめざす。 2.現地研究者の招聘等を通じて最新の研究動向・成果を把握・吸収するとともに、国際南東欧研究学会をはじめとする国際学会等で研究成果を随時報告し、情報発信につとめる。 3.紛争後の和解に取り組んでいる諸機関との連携も含めて、バルカン諸国で活動する研究者・専門家らを加えた広域的な研究ネットワークの形成をいっそう推進する。 4.バルカン史共通教材の続編の精読・翻訳作業にあたっては、研究協力者としてとくに若手研究者の参加をうながし、研究体制の強化をはかっていく。
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Causes of Carryover |
計画していた現地調査(クロアチアなど)のうち、諸般の事情により実施できないものがあったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未実施の現地調査(クロアチアなど)を実施する。
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Research Products
(5 results)