2015 Fiscal Year Research-status Report
分解反応の遷移状態構造に立脚した新型核酸医薬を志向した核酸酵素の創製
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15KT0057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 晃充 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (60314233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 剛介 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40648268)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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Keywords | 核酸 / アプタマー / ヒュースゲン環化 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学反応による医薬関連物質の創製において、その化学反応機構の理解は不可避である。 タンパク質による酵素触媒反応では反応速度や生成物の選択性に焦点が当てられてきたが、研究の対象は結晶構造解析を終えて立体構造が理解されている酵素が多い。核酸アプタマーについては、標的分子に結合可能な核酸配列がスクリーニングを通して見いだされたという発見プロセス的な理由から、一次構造がわかっていても、実際に作用する高次構造が不明なままあることがほとんどである。そうすると、核酸構造から結合様式を予測して新たな核酸アプタマーや反応場を設計することはできない。今一度目的の化学反応の遷移状態を振り返って遷移状態構造を核酸アプタマー設計の中心に据えた研究が必要であり、実験と理論の両面からアプローチしなければならない。まず、我々は、ヒュースゲン環化を触媒する核酸アプタマーを取得すべく、分子設計を進めた。ヒュースゲン環化は、生体修飾に極めて有効な反応であるが、かすくするために銅などの触媒を必要としていた。この触媒の代替として核酸アプタマーが用いることができれば生体修飾の極めて有効な手段になるだろう。本研究では、ヒュースゲン環化として、アジド分子、アセチレン分子、生成物疑似のイミダゾール分子の合成を目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
認識化合物の合成に着手するとともに、アプタマースクリーニングのためのプライマー領域のデザインまで進んでいる。おおむね順調に進んでいる。できるだけ速やかにスクリーニングに着手したい。
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Strategy for Future Research Activity |
アプタマー候補をスクリーニングによって取得する。得られた候補配列を元にRNAを再合成する。これらのRNA と遷移状態近似分子の間の結合定数をカロリメトリーもしくは表面プラズモン共鳴などを用いて確認する。最も結合定数が大きいRNA を第一候補とし、そのRNA を含む溶液(前述の溶出水溶液と同じ)へアセチルコリンを加えて、分解反応を追跡する。同じように、他の候補RNA についても同様の実験を行い、最も効率的なRNA 触媒を探し出す。
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Causes of Carryover |
当初予定していた以上に研究が順調に進捗して迂回路のための研究をする必要が無くなって、消耗品での使用を抑制することができた。成果は順調に出つつある。 次年度では、残った資金を消耗品を中心に使いながら、さらなる進捗を目指す。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の進捗を考慮して、消耗品(特に化学薬品)を中心に購入する。残った研究費は上半期のうちに使い切りたい。
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