2017 Fiscal Year Research-status Report
近接効果を利用した遷移状態制御による選択的活性化法の開発と創薬展開
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15KT0061
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大野 浩章 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30322192)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 近接効果 / 骨格構築 / マクロ環化 / 創薬 / アルカロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
1-1. ピロロカルバゾール骨格の一挙構築:平成28年度までの検討において、アジド部位を有する共役ジインに対して金触媒を作用させると、目的の連続環化反応が進行し、ピロロカルバゾールが一挙に生成すること見出し、ディクチオデンドリンFの全合成に成功していた。平成29年度は、本合成法を基盤とした他のディクチオデンドリン類の合成を検討し、ディクチオデンドリンBの全合成と、ディクチオデンドリンCおよびEの形式全合成を達成した。さらに、求核剤としてインドールやベンゼンを利用できることを見出し、本反応が様々な縮環カルバゾール骨格の構築に有用であることを示した。 1-2. アクアミリンアルカロイド骨格の一挙構築:平成28年度までの研究により、アクアミリンアルカロイド骨格を構築する金触媒反応の開発に成功し、ストリクタミンの形式全合成を達成している。一方で、ストリクタミン型の四環性骨格を有する基質の還元的Heck反応は良好に進行しないことが判明していた。そこで平成29年度は、イミン部分の還元に続くHeck型反応により、カタホリン型骨格を構築することを試みた。現在までの検討において、イミンの還元と窒素置換基の変換を行い、相対立体配置が不明であるものの、カタホリン型五環性骨格を構築するための環化前駆体を取得している。引き続き、還元反応の立体選択性を精査し、Heck型反応の検討を実施する。 2. 低活性エステルを用いたマクロ環化反応の開発:C末端を効率よく活性化することが可能となるリンカーを新たにデザインして検討を行った結果、システインフリーなhead-to-tail型の環化反応がHOAt共存下において効率的に進行することを見出した。さらに本反応がマイクロフロー反応に適用可能であることを実証し、マクロ環状ペプチドの大量合成法に展開できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに開発したピロロカルバゾール骨格構築法を基盤として、数種のディクチオデンドリン類の全合成に成功した。さらに、ピロールの他にインドールやベンゼンを求核種とする連続環化反応に展開し、種々の縮環カルバゾール骨格を構築することに成功している。マクロ環化反応の開発においては、独自のリンカーを用いたhead-to-tail型の環化反応の開発に成功している。以上より、研究は全体として概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1-1. ピロロカルバゾール骨格の一挙構築:平成29年度までに成功したディクチオデンドリンの合成法を活用して、数種の誘導体を合成する。得られた合成中間体や誘導体について抗腫瘍活性評価を実施して構造活性相関情報を取得するとともに、高活性誘導体の取得を目指す。 1-2. アクアミリンアルカロイド骨格の一挙構築:平成29年度に引き続いて、イミンの立体選択的還元と還元的Heck反応の検討を実施し、カタフォリンの全合成を目指す。 2. 低活性エステルを用いたマクロ環化反応の開発:平成30年度後半より、金属触媒を用いた環化反応を契機とするマクロ環化反応の開発に関する予備検討を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
低活性エステルを用いたマクロ環化反応について、平成29年度は独自のリンカーを用いたマクロ環化反応の開発を行ったものの、金属触媒を用いた反応の開発を実施しなかった。このため、物品費の支出額が当初の想定よりも低く抑えられた。
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Research Products
(21 results)