2016 Fiscal Year Research-status Report
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15KT0077
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
五島 剛太 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (20447840)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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Keywords | 染色体分配 / スピンドル(紡錘体) / 微小管 |
Outline of Annual Research Achievements |
ショウジョウバエのS2細胞内でキネシン8を欠失させると、異常に長い微小管より成る細胞分裂装置が形成され、染色体の分配に異常が出ることが知られている。キネシン8は動原体外表に多く存在するため、染色体と分裂装置の接点でなんらかの働きを有していると予想される。28年度は、特にショウジョウバエのキネシン8タンパク質に着目して生化学的研究を進めた。(1)組み換えタンパク質(GFPを融合したもの)を大腸菌から精製した。精製の最後のステップとしてショ糖勾配密度遠心を加えることで、前年度よりもさらに純度の高いタンパク質を得ることができた。(2)得られた組み換えタンパク質を用いてMicrotubule gliding assay(微小管滑動アッセイ)やsingle molecule motility assay(一分子歩行アッセイ)を行い、ショウジョウバエのキネシン8には微小管のマイナス端からプラス端に歩行する活性があることを確かめた。これは、酵母やヒトなど他の生物種で見られていたものと同様であった。(3)伸び縮みする動的な微小管と混ぜ、そのダイナミクスに変化をもたらすかを調べたところ、キネシン8は動的な微小管のプラス端に蓄積し、そのダイナミクスを顕著に変化させることがわかった。この活性は、キネシン8が欠失すると細胞分裂装置内部の微小管の長さが異常になることと矛盾はなかった。 以上の結果はショウジョウバエのキネシン8がどのようにして染色体分配装置の働きに寄与しているかに対して新たな知見を与えるものであり、アメリカ細胞生物学会年会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
染色体分配装置の構築に必須の因子の分子活性を決定できたため
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Strategy for Future Research Activity |
染色体分配装置のうち、動原体微小管の構築原理に迫る研究を推進する
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Causes of Carryover |
消耗品にかかる費用を節約できたため未使用額が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品購入に使用予定
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Research Products
(4 results)