2016 Fiscal Year Research-status Report
形と流動性の再現から読み解く生命システムの秩序原理
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15KT0081
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤原 慶 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (20580989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 実穂 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (50555802)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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Keywords | 合成生物学 / ソフトマター / 人工細胞 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生命要素を再構築した人工細胞を用い、「生命機能と形状・流動性の関係」と「細胞サイズ閉鎖空間の形状と流動性の関係」を解明し、細胞恒常性の秩序原理に迫ることを目的としている。H27年度までに、形状と流動性の関係について、流動性が変形パターンの運命を変化させるという結果を得た。また、流動性が人工細胞内の動的な反応拡散波の制御因子としての機能を持つということを示すに至った。 H28年度は、人工細胞形状が内部の動的な因子に与える影響を解析した。キャピラリーにより引き延ばした油中水滴内におけるバクテリア細胞内の動的な反応拡散波(Min波)のパターンを解析したところ、十分に大きな空間の場合、スパイラル様のパターンが現れることを見出した。しかし、油中水滴は膜界面の張力が高く形状変化の解析に不向きであるため、解析する系をリポソームに変換するため条件検討を行っている。Min波の動きの詳細な解析には至っていないが、浸透圧を利用することで大腸菌のように細長いリポソームの作製には成功している。 生命機能が流動性に与える影響については実験系が整ってきた。特に人工細胞内部の流動性の解析においては、FRAPやFCSを用いた解析速度を向上することに成功した。それゆえ、H29年度以降に本系を用いた解析を推進する土台は整った。また、空間形状が内部の流動性に与える効果の解析過程で、空間サイズと流動性の関係性を示唆するデータを得た。流動性と形状に関しては、人工分子によって膜近傍の流動性を下げることで、細胞骨格を保持した細胞膜のように安定性を付与することが可能であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
代表者、分担者共に当初想定していなかったライフイベントがあり、それにともない研究の進行に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞形状が生命機能に与える影響を解析する。また、生命機能が流動性に与える影響を引き続き解析する。
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Causes of Carryover |
代表者、分担者ともに研究開始当初予期していなかったライフイベントにともなう研究の遅れが生じ、それゆえに次年度への繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅れている形状・機能の相関、機能・流動性の相関を遂行するため、消耗品費として使用する。また、H28年度に対外的な発表を行得なかった分、H29年度は積極的に成果を発信するための旅費として使用する。
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