2017 Fiscal Year Research-status Report
形と流動性の再現から読み解く生命システムの秩序原理
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15KT0081
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤原 慶 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (20580989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 実穂 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (50555802)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 合成生物学 / ソフトマター / 人工細胞 / 流動性 / 生命システム |
Outline of Annual Research Achievements |
生命システムを内包した人工細胞を用い、「生命機能と形状・流動性の関係」と「細胞サイズ閉鎖空間の形状と流動性の関係」の解明を通し、細胞内における生命の秩序原理を明らかにすることを目的としている。 本年度は、昨年度までに明らかにした流動性が変形パターンの運命を変化させるという研究内容をまとめた論文が、Soft matter誌に採択された(藤原&柳澤 2017)。また、流動性と形状に関しては、膜近傍の流動性を下げることで細胞骨格を保持した細胞膜のように環境変化に対して安定となることを論文にまとめ、PNAS誌にて報告した(黒川、藤原ら2017)。さらに、人工細胞中でゲル化したゼラチンの弾性を解析することで、脂質膜が最終的なゲル化の弾性に大きな影響を与えることが明らかにした。さらにCDやIRなどのspectrum解析やチオフラビンT結合活性を解析したところ、人工細胞内ゲル化が引き起こす弾性転移はランダムコイル部分がβシートへと転換する二次構造転換に由来することが示唆された。本内容を論文にまとめ、ACS Central Science誌にて報告した(酒井、村山、藤原らin press)。 流動性が生命機能に与える影響については知見が蓄積されてきたが、その逆である生命機能が流動性に与える影響については実験系が整ってきたものの、依然解決すべき問題がいくつか存在している。本研究過程で開発した無細胞条件でのバクテリアゲノム転写翻訳系(藤原ら、NAR 2017)を人工細胞に封入することまでは成功しているため、ゲノムの転写翻訳が流動性に与える影響の解析を検討している状況である。また、人工細胞形状が内部の動的な因子に与える影響を解析するため光ピンセットによりリポソームの形状を変化させたが、アスペクト比を1:1.2程度にすることまでは達成できたが、今後より大変形を可能とする条件を見出す必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の遅れを取り戻し、いくつかの論文を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究が遅れている生命機能が流動性に与える影響について重点的に取り組む。系は確立されたため(渡辺&柳澤 PCCP in press)、人工細胞に転写翻訳、反応拡散システムなどを導入し、機能にともなう流動性の変化を解明する。
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Causes of Carryover |
代表者、分担者ともにライフイベントにより2年目の計画において遅れが生じた。計画の修正は順調に進み、次年度への延長により研究が完成されることが期待される。
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Research Products
(13 results)