2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15KT0105
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 一石 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (60432465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 健太 一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (60432902)
石井 聡 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (90587809)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 脳磁図 / 代数ビジョン |
Outline of Annual Research Achievements |
名古屋大学多元数理科学研究科の伊藤敦氏及び韓国高等科学院の三浦真人氏と共同で、代数ビジョンにおける射影再構成問題に取り組んだ。代数ビジョン(algebraic vision)は、代数幾何の手法を用いたコンピュータービジョンの研究に対して与えられた新しい名称である。コンピュータービジョンはデジタル写真や動画から、計算機を用いて情報を取り出すことを研究する学問であり、人間が視覚によって行えるタスクを計算機で実行することを一つの大きな目標にしているが、それにとどまらず、工学、情報学、数学、物理学、 医学などに跨る学際的な分野を形成している。本研究は、脳磁図の信号源推定をしないセンサーレベルのデータに新規の数学的手法を適用することで、脳の様々な状態を判別することを目標の一つとしているが、このデータの住む空間は非常に高い次元を持ち、それと比較すると少数の標本しか現実的には得ることが出来ないので、何らかの方法でデータの次元を下げる必要がある。次元を下げる方法として最も単純なものは低次元の空間への線形射影であるが、十分たくさんの線形射影が与えられた時に、もとのデータが射影変換を除いて復元できるかを問うのが射影再構成問題である。3次元から2次元への射影が古典的であるが、一般次元における再構成も、純粋に数学的な興味の他に、動的シーンの解析や歪曲収差位の補正などへの応用を持つことが知られている。一般次元における射影再構成問題に関しては、2009年にHartleyとSchaffalitzkyによる結果が知られているが、我々は射影再構成問題を純代数幾何的に定式化し、HartleyとSchaffalitzkyの結果の全く新しい証明を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
直ちに脳磁図に応用できる手法の開発にはまだ至っていないが、脳磁図のデータを信号源推定なしに扱うことに関して予備的な実験と解析を繰り返して理解が着実に進展している事に加えて、コンピュータービジョンと代数幾何が交差する代数ビジョンと呼ばれる新しい分野で一定の成果を得て論文をarXivで公表するなど、全体として研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
脳磁図の信号源推定をしないデータの取り扱いの研究の研究の過程で発見した、多次元尺度構成法に関係する代数幾何学的な問題に、韓国高等科学院の三浦真人氏と共同で取り組む。また、三浦真人氏及び理化学研究所の三内顕義氏と共同で、機械学習の手法を用いた脳磁図の研究に取り組む。
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Causes of Carryover |
数理的な側面の研究が進んだ一方、脳磁図への応用に関する進歩が予備的な段階にとどまったので、実験のために計上した経費は次年度に使用することにした。
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