2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15KT0105
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 一石 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (60432465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 健太 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (60432902)
石井 聡 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (90587809)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2020-03-31
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Keywords | 代数ビジョン |
Outline of Annual Research Achievements |
名古屋大学多元数理科学研究科の伊藤敦氏及び韓国高等科学院の三浦真人氏と共同で行っている、代数ビジョンにおける射影再構成問題(projective reconstruction problem)の研究を継続した。特に、コンピュータービジョンにおいて用いられているGrassmannテンソルが多視点多様体(multiview variety)に対するChow形式である(より正確には、古典的なChow形式は、射影空間の部分多様体を双対射影空間の直積の超曲面に変換したものの定義式の係数であるのに対し、Grassmannテンソルは、射影空間の直積の部分多様体である多視点多様体をGrassmann多様体の直積の超曲面に変換したものの定義式の係数である)という観点から、先行研究に対する我々の結果の位置づけを明確にし、論文の改訂を行った。 また、三浦真人氏と共同で、多次元尺度構成法(multidimensional scaling)に関する研究を行った。多次元尺度構成法は、与えられた有限距離空間をなるべく良く近似するユークリッド空間の部分空間を探す手法であり、射影による次元削減が線形なのに対し、非線形の次元削減を行う。例えば、これとFloyd-Warshallアルゴリズム(これはトロピカル半環上の行列の冪である)を組み合わせることによって、isomapと呼ばれる多様体学習(manifold learning)の代表的な手法が得られる。古典的な多次元尺度構成法においては距離行列の固有分解が用いられるが、我々は二重井戸型ポテンシャルやLennard-Jonesポテンシャルを用いた損失関数を設定して、それを最小化する一種の多体問題として多次元尺度構成を捉え、いくつかの興味深い現象を観察した。特に、等距離空間に二重井戸型ポテンシャルを与えた場合に、損失関数が連続的な停留点(モジュライ)を持つ事を証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次元削減は、データの次元が高くなるにつれて取り扱いが急激に困難になるいわゆる次元の呪いや、人間が3より大きな次元の空間を把握することが困難であることに起因するデータの視覚化の問題などに対処するための重要な手法であり、様々な応用を持つ。本研究が目標としている脳磁図の生データは極めて高い次元を持つことから、その取り扱いにおいてはどこかの段階で次元削減を行うことが必要になる。射影再構成は線形射影による次元削減に関する理論的な基礎の一つを提供し、多次元尺度構成法は非線形の次元削減における最も基本的な手法の一つであるが、この双方に関して着実な進歩があり、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
多次元尺度構成法に関して、これまでに得られた結果を論文としてまとめる。また、三浦真人氏らとも協力して、機械学習の手法を用いた脳磁図の研究に取り組む。
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Causes of Carryover |
数理的、基礎的な研究は順調に進展したが、脳磁図への応用は予備的な段階にとどまったので、実験のために計上した経費は次年度に使用することにした。
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Research Products
(4 results)