2016 Fiscal Year Research-status Report
偏光視を利用した昆虫のナビゲーションの動的神経モデリング
Project/Area Number |
15KT0106
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐倉 緑 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (60421989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 泰広 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10213745)
福山 克司 神戸大学, 理学研究科, 教授 (60218956)
岡田 龍一 兵庫県立大学, 環境人間学部, 研究員 (20423006)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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Keywords | 昆虫 / ニューラルネットワーク / 体内コンパス |
Outline of Annual Research Achievements |
一般に昆虫は天空の偏光パターンを利用して方向を検出することが良く知られており、脳の中心複合体領域に脳内コンパスの機能があると考えられている。しかし、天空でパターンを形成し、かつ天候や太陽高度によって時々刻々と変化する偏光刺激が、脳内コンパスによってどのように符号化されているのかについては未解明な点が多い。そこで本研究では、生物学的および天文学的データを用いた動的シミュレーションにより、偏光情報の感覚器および脳内の偏光感受性ニューロンにおける符号化の実態を明らかにすることを目的としている。 今年度は、昨年度取得した複眼の背側に存在する偏光受容領域(Dorsal rim area, DRA)に関する形態学的データに基づいてセンサーマップを作成し、シミュレーションに用いる入力層を作成した。DRAに含まれる視細胞では、その微絨毛の並びに平行なe-ベクトルを持つ光が効率的に吸収される。そのため、DRA領域全体にわたる視細胞の形態とその応答の生理学的特性から、DRAを介して入力する偏光情報の理論値を算出することができる。そこで、DRAに含まれる視細胞の微絨毛の配列が異なる複数の昆虫種において、それぞれに対応するセンサーマップを構築し、天空の偏光パターンを刺激として用いた時の全体としての入力について、シミュレーションによる解析を行った。現在は、時刻(太陽高度)による偏光パターンの変化によって、入力する刺激の質がどのように変化するのかについて解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度取得したデータを元に、当初の予定通りシミュレーション作業をすすめられている。偏光システムへの入力情報の時間的変動については、すでに解析ができる見通しが立っている。また来年度に向けてすすめる予定である、脳内の偏光感受性ニューロンの応答も含めたネットワークモデルについても、共同研究者との打ち合わせがすすんでいる。これらより、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
異なる昆虫種における入力情報の比較解析をすすめ、それぞれの採餌行動やナビゲーションの特性も含めて総合的な分析を行う。また脳内の偏光感受性ニューロンの応答特性が詳細に調べられているコオロギについては、ネットワークモデルを脳内神経も含めたものに拡張し、中枢レベルでの情報処理機構について考察する予定である。
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Causes of Carryover |
国内で行われた国際学会の機会を利用して、共同研究者との打ち合わせを行ったことにより旅費を節約することができたため、その分を消耗品費にまわすことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度はより計算量の多いシミュレーションがを行う必要があるため、計算機の改良のために支出する予定である。
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Research Products
(6 results)