2015 Fiscal Year Research-status Report
紛争経験地域における暴力レジリエンス:若年者の帰属意識形成と疾病傷害リスクの低減
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15KT0128
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
清野 薫子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (10508336)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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Keywords | 紛争 |
Outline of Annual Research Achievements |
紛争経験地域においては、紛争の影響に因る保健医療サービス低下に伴う感染症その他の疾患の重篤化および死亡の影響を除いても、精神疾患、暴力行為による傷害死亡、さらに非感染症(non-communicable disease)による高い傷害疾病罹患が報告されている。本年度は、イエメン共和国の世帯調査分析、および、来年度に現地調査の実施を予定しているベトナムフエ市、アフガニスタンカブール市の既存データ解析、生活環境調査、健康調査の設計を行った。 イエメン共和国における全国世帯調査 Yemen National Health and Demographic Survey (YNHDS)、Comprehensive Food Security Survey, National Social Population Monitoring Survey, Human Rights Public Awareness Surveyを用いて、女性と子どもの健康状態および保健医療サービス受診、暴力体験の有無とその形態、治安および基本的生活ニーズ、居住生活環境、社会活動における自律性、地域社会連携について分析を行った。アフガニスタンの病院調査をもちいて解析した保健医療サービス受診、疾患別の医療費内訳の形態分析と地域世帯の経済状況をもとに、健康状態(主観的健康観、メンタルヘルス)、保健医療サービスの受診(怪我・傷害、非感染症)、紛争体験・紛争に伴う暴力体験、家族親族、地域、社会への帰属意識を含む質問紙調査項目について整理した。ベトナムにおける非感染症の罹患および予防活動、帰属意識、社会連携稠密度についての既存資料を取集分析し、評価項目の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査予定地イエメンについては、退避・渡航延期勧告が発出されており、本年度実施計画に予定していた通り、イエメン現地および在留イエメン研究者と連携のもと、イエメン全国調査の解析を行った。 また、来年度に予定しているベトナム、アフガニスタンの調査準備(既存調査解析、調査設計)を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に行った解析、調査設計にもとづき、ベトナムフエ市、アフガニスタンカブール市において、健康調査および生活環境調査を予定している。主観的健康観、紛争に伴う暴力の体験、外傷後ストレス障害を含むメンタルヘルス、非感染症罹患の有無、世帯の経済状況、世帯・居住地域の社会介在状況を調査する。現地調査実施にあたり、調査対象地域の保健省、自治体の協力を得て行う。また、調査を実施にあたり治安状況については、現地協力者と密に連絡を取り、必要に応じて実施時期、調査対象地域の再検証を行い、研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
治安、災害状況によりイエメンの現地調査、フエ市の予備現地調査が実施不可能であったため、既存全国調査の解析を行い、来年度実施フエ市の調査設計、事前のデータ分析を行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ベトナムフエ市、また紛争体験地域であるアフガニスタンカブール市において、健康調査、生活環境調査を実施する。フエ市においては2003年、カブール市においては2006年に調査実績があり、現地の研究協力者と事前に調査実施への協力、調査密な連携関係を構築しており、治安、災害状況等の大きな状況変化がない限り、当該地域での調査研究を遂行させる計画である。
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Research Products
(2 results)