2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15KT0129
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
Hawkins Virgil 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (10511040)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 紛争 / メディア / アジェンダ・ビルディング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、武力紛争がメディアに注目または無視される要因及び過程を明らかにすることである。具体的に、1)国際報道に関する先行研究から創出した要素を紛争報道に適用、2)事例を用いて、紛争がメディアに注目・無視される要素の解明、3)比較分析により、包括的・グローバルなレベルでの要素の解明、となっている。平成27年度には1)を進めると同時に、日本の報道に対する量的・質的分析を用いて、2)の目的の解明を進めることが目的であった。 1)に関しては、主に欧米の専門誌・書籍等で発表されている国際報道に関する先行研究(外国で起きた出来事が注目される要素等)を調べ、暫定的に紛争報道への適用を試みた。 2)に関しては、日本の大手新聞(読売、朝日、毎日)に掲載されている国際報道・紛争報道の分析を進めた。2011年以降の5年分を部分的に分析を行ったが、特に2014年と2015年にフォーカスをした。特に2015年に対しては、国際報道・紛争報道をさまざまな項目に分け、全体的な報道量のみならず、紛争報道をいくつかの要素をもとにデータを集め、分析を開始した。このデータの分析は初期の段階ではあるが、特に2014年と2015年のデータに関してはいくつかの興味深い傾向が見えてきている。 質的分析としては、報道機関の関係者およびその他の関係者に対する聞き取り調査も行うことができた。日本の大手新聞に所属している複数の記者および編集者から聞き取り調査を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に予定していた目的1(国際報道に関する先行研究から創出した要素を紛争報道に適用)に関しては、先行研究の調査が進み、そしてその結果、紛争報道への適用も(暫定的ではあるが)できている。また、目的2(日本の国際報道・紛争報道の事例を用いて、紛争がメディアに注目・無視される要素の解明)に関しても、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞を中心に定量的なデータ収集が大きく進み、そのデータの分析からいくつかの傾向を導くことができている。予定していた質的分析(報道関係者等への聞き取り調査)を開始したが、現時点で計画していたほど多くのインタビューを集めることができておらず、引き続き平成28年度に進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、目的1(国際報道に関する先行研究から創出した要素を紛争報道に適用)の作業を事例に照らし合わせながら引き続き行う。また、目的2(国際報道・紛争報道の事例を用いて、紛争がメディアに注目・無視される要素の解明)に関しても、日本の報道の事例研究を引き続き行いながら、アメリカ・フランスの紛争報道も事例として取り上げ、量的・質的データを収集・分析を開始する。 平成29年度以降はオーストラリア・ニュージーランド及び南アフリカの事例を加え、その量的・質的データの収集・分析を行いながら、すべての事例研究を比較分析する作業を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた質的分析(報道関係者等への聞き取り調査)を開始したが、これまで行った聞き取り調査は大阪で行っており、もしくは電話による聞き取り調査となっており、予定していた東京での聞き取り調査を行わなかった。そのため、東京への出張の旅費が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に東京での聞き取り調査を進める予定であり、東京出張を増やす予定である。
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