2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15KT0129
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
Hawkins Virgil 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (10511040)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 紛争 / 報道 / アジェンダ・ビルディング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、武力紛争がメディアに注目または無視される要因及び過程を明らかにすることである。具体的に、1)国際報道に関する先行研究から創出した要素を紛争報道に適用、2)事例を用いて、紛争がメディアに注目・無視される要素の解明、3)比較分析により、包括的・グローバルなレベルでの要素の解明、となっている。平成29年度の目標としては、1)を進めると同時に、報道(アメリカ、フランスの2年目の調査と、新たにオーストラリア、ニュージーランド)に対する量的・質的分析を用いて、2)の目的の解明を進め、さらに、3)の比較分析作業を開始すること。 1)に関しては、平成28年度同様先行研究の調査を進めた。同時に、紛争報道の要因を解明するために、平成28年に開始した社会心理学の観点からの先行研究の分析もさらにに進めた。 2)に関しては、引き続き国際報道・紛争報道のデータ収集と分析を進めた。今年度は日本(朝日、毎日、読売)のデータ収集・分析を続行することにし、アメリカのニューヨークタイムズ紙、フランスのルモンド紙のデータ(2015年分を中心に)に関しても、続行した。また、オーストラリアのオーストラリアン紙のデータ(2016年分から)も収集を開始し、南アフリカ(本来は平成30年から開始する予定)のニュース24・サンデータイムズに関しても調査を始めた。さらに、これらの報道機関からのデータを統一させ、分析しやすくするために、データベースも構築し始めた。質的分析について、引き続き報道関係者および他にメディア研究に取り組んでいる研究者への聞き取り調査および意見交換を行った。 また、日本国内外での学会発表を通じて、これまでの成果について発信を行った。今年度はIAFORのMediAsia学会(神戸で開催)とSACCPS/CEAPSの国際会議(南アフリカのフリーステート大学で開催)で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定していた目的1(国際報道に関する先行研究から創出した要素を紛争報道に適用)に関しては、先行研究の調査が予定通り進んでいる。国家または国家における出来事が報道される要因および紛争報道への適用も予定通り進んでいる。また、目的2(国際報道・紛争報道の事例を用いて、紛争がメディアに注目・無視される要素の解明)に関しては、若干調整をしているが、概ね予定通り進めている。例えば、日本の新聞(朝日、読売、毎日)の調査は2年間の調査については、より深い分析ができるように期間を延長し、続行している。アメリカ、フランス、オーストラリア、ニュージーランドの新聞調査は予定通り実施することができた。また、南アフリカのデータ収集・分析に関しては予定より早く開始することができた。さらに、計画では予定していなかったものの、報道調査の比較のためのデータベースの構築も開始した。聞き取り調査については、国内の報道関係者への調査は進んでいるが、海外に関しては、まだ十分な調査ができておらず、予定より若干遅れているが、平成30年度にはさらに聞き取り調査を進める予定である。また国内外での学会発表で成果の発信も行うことができた。比較作業は無事進んでおり、すでに日本とアメリカの国際報道のおける相関関係を発見することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、目的1(国際報道に関する先行研究から創出した要素を紛争報道に適用)の作業を事例に照らし合わせながら引き続き行う。また、目的2(国際報道・紛争報道の事例を用いて、紛争がメディアに注目・無視される要素の解明)に関しても、日本、アメリカ、フランスの報道の事例研究を部分的に延長し行いながら、オーストラリア・ニュージーランド、南アフリカの紛争報道も量的・質的データを収集・分析を続行する。これまでのすべての事例研究を比較分析も進める予定である。また、最終年となっており、すでに比較作業から発見ができていることもあり、成果に関する発表にも力を入れる。特に、日米の報道比較に関する学術論文の執筆と、全事例の成果に関する書籍の執筆を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた質的分析(報道関係者等への聞き取り調査)を日本国内で行っているが、ヨーロッパ・オーストラリア等での聞き取り調査がまだ限られており、渡航することができていない。そのため、ヨーロッパ・オーストラリアへの出張の旅費が発生しなかった。
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Research Products
(5 results)