2016 Fiscal Year Research-status Report
ノンゼロ関係から国際紛争解決への心理プロセスの解明
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15KT0131
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大坪 庸介 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (80322775)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 国際紛争 / 領土問題 / 国際的謝罪 / 補償 / 神聖な価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度には、領土問題に神聖な価値を見出す者ほど補償に対してネガティブな反応をするのか、またこの効果は相手国の関係価値により調整されるかを検討した。具体的には、H27年度に竹島問題について韓国が補償を申し出る場合に神聖な価値を見出す者ほど反応がネガティブなものになるという結果を得たことを踏まえて、竹島問題について韓国の関係価値を操作したインターネット実験を行った。 最初に韓国が日本の貿易パートナーとして重要であることを示す情報・そうではないことを示す情報を与えることで韓国の関係価値を操作可能であることを確認する予備調査を行った。この結果を踏まえて、関係価値情報(高・低)×補償(あり・なし)×謝罪(あり・なし)のシナリオ実験をインターネットを通じて実施した。例えば、韓国が貿易パートナーとして重要であるという情報を見た後、竹島問題に関連して、韓国が不当に竹島を占拠していたことを謝罪し(謝罪あり)、かつ補償金を支払う(補償あり)といったシナリオを提示し、韓国との和平協定に対してどのような態度をもつかを尋ねた。その結果、神聖な価値の有無にかかわらず(この点はH28年度調査とは結果が一貫しない)謝罪の有無が和平協定への態度を決定し、金銭的補償は謝罪と組み合わせられるのであれば必ずしもネガティブな態度を生まないことが明らかになった。また、本申請研究で主要な変数である関係価値については、今回の調査では結果に有意な効果をもっていなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度と2年目でインターネット調査により先行研究の知見が再現されるかどうかを検討することを目的としていた。2年間で行った調査の結果、先行研究と似た結果は得られるが、解釈は先行研究から変更する必要があることが明らかになった。したがって、次年度以降の研究計画には調整が必要であるが、研究自体はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度以降、関係価値を操作し、その効果を本格的に検討する予定であった。しかし、H28年度のインターネット調査の結果により関係価値の操作が和平協定への態度に影響しないことが明らかになった。これはインターネット調査では操作に十分に注意が払われていないためである可能性がある。そこで、今年度は予定を少し変更し、実験室実験を組み合わせて、関係価値が和平協定への態度に影響するかどうかを検討する。また、インターネット調査でも新たな操作を考案し、関係価値が和平協定への態度にどのように影響するかを検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
予定していたインターネット調査にかかる費用に対して、アカデミック割引が適用され、予想よりも若干低く抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度、関係価値の操作がうまくいかない部分があり、それについて追加の調査を行う必要がある。その調査費用に充てる予定である。
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[Presentation] Moralistic anger is triggered by violations of socially shared norms.2016
Author(s)
Konishi, N., Tanaka, K., Oe, T., Shimizu, H., & Ohtsubo, Y.
Organizer
Human Behavior and Evolution Society
Place of Presentation
Vancouver, Canada
Year and Date
2016-06-29 – 2016-07-02
Int'l Joint Research