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2017 Fiscal Year Research-status Report

ノンゼロ関係から国際紛争解決への心理プロセスの解明

Research Project

Project/Area Number 15KT0131
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

大坪 庸介  神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (80322775)

Project Period (FY) 2015-07-10 – 2019-03-31
Keywords集団間葛藤 / 謝罪 / 和解 / 関係価値
Outline of Annual Research Achievements

H29年度は、H28年度の実験で効果量が小さく支持されなかった仮説(貿易パートナー国の関係価値プライミングが、パートナー国に対する好意的態度(関係改善に前向きな態度)を醸成する)を、実験手法を改善して検討した。具体的には、韓国が貿易相手国の上位3位に入る品目、入らない品目を6つずつ選び、半数の参加者には韓国が入る6品目について貿易相手国の上位3位を予想してもらった。参加者が回答を記入した後、正解をフィードバックすることで、韓国の貿易パートナーとしての重要性が顕現化されたと考えられる(関係価値高条件)。反対に、韓国が上位3位に入らない品目について同じ作業を行った参加者では、韓国の関係価値の顕現性が上昇しなかったはずである(関係価値低条件)。H28年度の実験でも同様の操作を行ったが効果が弱かった。そこで、H29年度の実験では、参加者に提示した正解を隣に設けたスペースに自分自身で正しく入力してもらった。これによって参加者が確実に正解に注意を向けるようにした。その後、韓国の関係価値を評定してもらったところ、関係価値高条件の参加者が有意に価値を高く評定しており、操作がうまくいったことが確認された。そして、竹島問題の解決についての態度を尋ねたところ、関係価値高条件の参加者ほど竹島問題の平和的な解決を支持する態度を表明していた。関係価値の融和的態度に対する効果は、これまで主に対人的和解場面で検討されてきた。H29年度の研究は、この効果が集団葛藤場面(国際紛争場面)にも応用可能である可能性を示すものである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究実績の概要にも記載したとおり、H28年度の実験で期待した結果が得られなかったことから、H29年度のインターネット調査が予定通りに進むかどうかが心配されたが、実験手続きを修正した結果、おおむね予定通りに研究が進んでいる。H29年度の研究の目的は、関係価値の操作が集団紛争場面でも和解動機づけを高めるというものであった。この仮説はH29年度のインターネット調査で支持された。ただし、当初の予定では道徳的絶対主義者かどうかの違いがこの効果を調整すると予測していた。しかし、H28年度の研究結果から、関係価値操作の効果量が当初予測していたものより小さいことが明らかになったため、検証の難しい交互作用効果を断念し、関係価値の主効果のみを検討した。また、この結果は、短報論文としてまとめてすでに国際誌で審査中となっている。

Strategy for Future Research Activity

H30年度は、H29年度の研究結果(関係価値の操作が和解動機づけを高める)を補う研究として、相手国に対する共感性が和解動機づけを高めるという仮説を検討する予定である。研究計画段階では、関係価値操作が共感を有意に高めると予測していたが、H29年度調査に補足的に含めた質問項目の分析では、必ずしもそのような結果にはならないことが予測される。また、現在、研究計画をたてたときには想定していなかった韓国と北朝鮮の宥和ムードが連日報道されていることから、韓国に対する態度を測定するとなんらかのバイアスがかかる可能性がある。そこで、中国との関係など、別の関係を用いて検討する可能性を検討している。それに加えて、関係価値以外の方法で共感性を操作する可能性もさぐっており、H30年度中に予定していた研究を遂行できると見込んでいる。

Causes of Carryover

インターネット調査において、当初検討予定であった関係価値の効果が予想以上に小さい可能性が示され、本来検討予定であった道徳的絶対主義との交互作用の検討を断念した。そのため、結果的に当初の予定よりサンプルを小さく抑えることができ、コストが削減された。その一方、道徳的絶対主義に変わる別の変数を次年度の研究に含めるために、節約された分を次年度使用に充てることとした。

  • Research Products

    (5 results)

All 2018 2017

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Within-individual associations among third-party intervention strategies: Third-party helpers, but not punishers, reward generosity2018

    • Author(s)
      Ohtsubo, Y., Sasaki, S., Nakanishi, D., & Igawa, J.
    • Journal Title

      Evolutionary Behavioral Sciences

      Volume: 12 Pages: 113~125

    • DOI

      10.1037/ebs0000107

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Perceived shared condemnation intensifies punitive moral emotions2017

    • Author(s)
      Konishi, N., Oe, T., Shimizu, H., Tanaka, K., & Ohtsubo, Y.
    • Journal Title

      Scientific Reports

      Volume: 7 Pages: -

    • DOI

      10.1038/s41598-017-07916-z

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 道徳感情は連携罰に適しているのか? 回想法を用いた外的妥当性の検討2017

    • Author(s)
      小西直喜・大坪庸介
    • Organizer
      日本感情心理学会
  • [Presentation] 道徳的怒りと嫌悪は異なる感情反応か?―生理指標を用いた道徳感情の計測―2017

    • Author(s)
      小西直喜・日道俊之・大坪庸介
    • Organizer
      日本社会心理学会
  • [Presentation] 道徳的怒りと嫌悪は弁別可能な感情反応なのか?2017

    • Author(s)
      小西直喜・大坪庸介
    • Organizer
      日本人間行動進化学会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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