2016 Fiscal Year Research-status Report
アフリカにおけるミクロな紛争のマクロ化:現地調査に基づいたシミュレーション解析
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15KT0137
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阪本 拓人 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40456182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武内 進一 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 研究センター長 (60450459)
佐川 徹 慶應義塾大学, 文学部(三田), 助教 (70613579)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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Keywords | 紛争 / アフリカ / マルチエージェント・シミュレーション / 土地 / 平和構築 / 牧畜民 / 衛星画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度も研究分担者との緊密な連携のもと着実に研究活動を行うことができた.まず、研究代表者の阪本は、国内武力紛争に関するシミュレーション分析やマクロな計量分析を進め、ソマリアの国家崩壊と紛争動態を分析した論文(Agent-Based Simulation of State Collapse and Reconstruction)や、鉱物資源と紛争生起との連関を探った論文(The Inequality-Resource Curse of Conflict)などにまとめて公刊した.また、昨年度のケニアでの現地調査を踏まえ、東アフリカでの牧畜民の土地利用や移動を、シミュレーションや衛星画像解析等の手法も用いて分析し、同地域においてしばしば大規模な紛争の契機ともなる土地をめぐる共同体レベルの競合に関して有益な示唆を得た.これについても、国内外の学会や研究会(International Conference on Computational Social Scienceやアフリカ地域研究会など)で報告を重ね、地域研究から計算社会科学まで多様な分野の研究者から貴重なフィードバックを得ている.さらに、研究分担者の佐川は、エチオピアの南オモで現地の牧畜民の現状を調査し、また武内も東アフリカや中央アフリカを中心に、紛争、土地、国家というテーマで旺盛な執筆活動を展開しており、本研究課題に関わる成果は着実に蓄積している.他方で、阪本がエチオピアで実施予定の現地調査は、現地の治安情勢の悪化等もあり今年度は実施を見送った.その実施及び、これまでの成果を踏まえて、アフリカのマクロな紛争とミクロな紛争とをつなぐモデルを構築し、シミュレーションの実行へとつなげるのが、2017年度の最重要課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
関連する研究成果が蓄積する一方、エチオピアでの調査が現地の治安情勢の急速な悪化により、十分な形で実施できなかった.また本研究の主要なアウトプットとなる、アフリカの紛争の複合的側面を捉えるシミュレーション・モデルの構築も、まだまだこれからである.
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Strategy for Future Research Activity |
エチオピア(難しい場合は再びケニア)での現地調査を実施するなど、研究計画に沿った研究の推進に努めたい.また、研究分担者との連携を一層密にして、アフリカの紛争に関する概念モデル、さらにはシミュレーション・モデルの構築を速やかに進めていきたい.
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Causes of Carryover |
研究代表者(阪本)が実施予定であったエチオピアでの現地調査が、治安情勢等で実施できなかったため、旅費や人件費など出張経費に充てられる予定であった金額が次年度に繰り越されることとなった.また、研究分担者の武内と佐川も、本科研で購入予定であった物品を、他科研からの支出により購入するなどしたため、やはり次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記使用額は、エチオピアでの現地調査の実施の際の経費の支払い等に活用する予定である.
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Research Products
(13 results)