2016 Fiscal Year Research-status Report
[2+2]付加環化における遷移状態の解析と新しいクリック反応の確立
Project/Area Number |
15KT0140
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
道信 剛志 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (80421410)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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Keywords | クリックケミストリー / [2+2]付加環化 / ドナーアクセプター構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
クリックケミストリーは今世紀に入り提唱された新しい概念であり、温和な条件下で進行する定量的な付加反応と定義される。最も代表的なクリック反応は、銅触媒存在下で進行するアルキンとアジドの付加環化反応(CuAAC)であるが、生成物への微量金属触媒の混入が問題となっている。そこで、金属触媒を使用しない新しいクリックケミストリーが開発されてきた。その中で、我々は電子供与性基が置換したアルキンが電子吸引性のジシアノエテン誘導体と[2+2]付加環化後、続く開環反応を経てドナーアクセプター型分子構造を生成する反応を見出した。電子供与性基として芳香族アミンを用いると高収率で生成物が得られることが分かっている。本研究では、ジシアノエテン誘導体の化学構造を様々に変化させ、置換基が反応性に与える影響を実験および理論両面から詳細に調査した。まず、ジメチルアニリンが置換したアルキン分子を固定し、様々なgem-ジシアノエテン誘導体との反応を試験した。例えば、今年度は2,5-ジアルコキシ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタンの反応を試験し、選択的に単一の異性体のみを与えることを明らかにした。ジシアノペンタフルベン誘導体と反応機構を比較したところ、立体障害により速度論的因子よりも熱力学的因子がより支配的に作用していると考えられる。また、反応生成物であるドナーアクセプター分子構造の物性調査および応用研究にも着手し、電荷移動吸収の波長および強度を識別パラメータとしたセンサー機能についても実験をし、データを整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジメチルアニリンが置換したアルキン分子と新しいジシアノエテン分子の反応を試験し、異性体の作り分けという本研究の課題の一つを達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ジメチルアニリンが置換したアルキン分子とジシアノエテン誘導体の反応機構および反応の推進力を確認するため、遷移状態の計算を実施し、完了する。
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Causes of Carryover |
前年度から継続した実験であったため、新規物品の購入なしで進めることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を加速させるため、研究補助のための人件費・謝金を計上すると共に、成果発表のための旅費として使用する。
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