2017 Fiscal Year Annual Research Report
Transition-state-based Design of Catalytic Hydration
Project/Area Number |
15KT0141
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中 寛史 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教 (70431517)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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Keywords | 有機化学 / 水和反応 / 触媒 / 遷移状態 / カルボン酸 / アミド / エステル / ニトリル |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に得られた指針にもとづき,水の代替物を用いる形式的な触媒的加水分解反応および水和反応を開発した. まずトリフルオロ酢酸と水の混合物を用いるエステルの分解反応を開発した.この反応はトリフルオロ酢酸が水の代替物としてエステルに対する求核剤としてはたらく加酸分解型の反応であった.さらに下記の 3 点を明らかにした.(1) トリフルオロ酢酸と水の当量比が1:1のときにエステルの分解速度が最も大きくなる;(2) 本反応が脂肪族および芳香族のカルボン酸エステルの両方に適用できる; (3) 本反応は平衡反応であり,非平衡状態をつくり出すことで高収率でカルボン酸が得られる. さらにカルボン酸アミドを水の代替物として用いるシアノヒドリン(2-ヒドロキシニトリル)の触媒的水和反応を開発した.この方法ではパラジウム触媒と脂肪族一級カルボン酸アミドの存在下,反応温度 50 °C で10 分温めるだけでシアノヒドリンから多様な2-ヒドロキシアミドを収率よく合成できる.これまでのニトリルの水和触媒では反応条件下でシアノヒドリンが分解するため,また分解によって生じる青酸イオンが触媒毒となるため,目的の 2-ヒドロキシアミドを収率よく得ることが難しかった.今回の手法ではシアノヒドリンが分解しにくい温和な微酸性条件下で素早くアミド試薬 [RCONH2] からシアノヒドリン [R'R''C(OH)CN] への水 [H2O] が移動するため,高い収率で目的の 2-ヒドロキシアミド [R'R''C(OH)CONH2] が得られたと考えられる.
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Research Products
(8 results)