2016 Fiscal Year Research-status Report
核内染色体テリトリーの自己組織化と染色体ゲノム進化
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15KT0149
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
田辺 秀之 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (50261178)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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Keywords | 染色体テリトリー / 染色体 / FISH法 / 3D-FISH法 / 核内配置 / テナガザル科 / 転座切断点 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞核内における染色体テリトリーがどのような仕組みで収納、配置されているか、自己組織化現象も視野に入れた構成的アプローチによって、進化的な視点より考察することを目指している。具体的には、テナガザル科における「核型高速進化」の現象に着目し、ヒトおよびアジルテナガザル培養細胞を用いて、転座切断部位がどのような核内空間配置(放射状核内配置)を示すかを調べている。92ヶ所(昨年の報告より数の改訂あり)のうち36ヶ所のEvolutionary Conserved Breakpoints (ECBs)を選定し、これらの領域に由来するBAC-DNAをプローブとした3D-FISH法により比較検討を行った。この36ヶ所は、18ヶ所ずつのG-バンド領域とR-バンド領域にそれぞれ由来するように選定した。また、ECBsだけでなく、反復配列のAlu、LINE1、alpha-satellite、telomereも合わせ、これらを緑と赤で蛍光検出できるように標識して2D/3D-FISH法により解析を行った。 その結果、Alu、LINE1はそれぞれ核の中心寄り、核膜寄りに分布し、ヒトとアジルテナガザルの両者での差異は確認されなかった。alpha-satellite、telomereに関しても、核内空間に一様に分布する傾向が見られたが、アジルテナガザルalpha-satelliteをヒト細胞核にFISHした場合に、核の中心寄りのシグナルが肥大化する傾向が見られた。ECBsに関しては、特定な放射状核内配置ゾーンに分布するということではなく、核内空間に一様に分布する傾向が見られたが、ヒトとアジルテナガザルでは若干の差異があり、特にG-バンド領域とR-バンド領域の由来別の解析を重点的に進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定より多い、36ヶ所のEvolutionary Conserved Breakpoints (ECBs)をプローブとして用いた3D-FISH法が完了しており、これらの比較検討を詳細に進める段階にあるため。また、alpha-satelliteをプローブとして用いた場合に予想外の結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
アジルテナガザルalpha-satelliteをヒト細胞核にFISHした場合に、核の中心寄りのシグナルが肥大化する傾向が見られたので、この結果をより詳細に解析することとしたい。具体的には、進化速度の速い領域と遅い領域が、FISHシグナルの大小と関連するか、また、放射状核内配置の分布と対応するか等を調べ、ECBsの結果と合わせて考察を進める。
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Causes of Carryover |
論文の英文校閲費、印刷費に使用予定だったものが、次年度になってしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は最終年度なので、論文作成にとりかかり、英文校閲費、印刷費に使用する。
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Research Products
(6 results)