2016 Fiscal Year Research-status Report
植物細胞における小胞体の自己組織化による形態形成機構
Project/Area Number |
15KT0151
|
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
上田 晴子 甲南大学, 理工学部, 特任研究准教授 (90402776)
|
Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2018-03-31
|
Keywords | 小胞体 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体は,チューブ状構造とシート状構造が複雑に組み合わさり,細胞内でひと続きのネットワークを形成している.この特徴的なネットワークは真核生物に広く保存されており,これに異常を持つ植物は細胞伸長が悪く,植物の小型化や稔性の低下を示すものが多いことから,小胞体の多機能性はその形態と密接に関連していると考えられる.しかし,動物細胞で小胞体シート状構造の形成に関わるとされる重要な因子が植物細胞に保存されていないなど,植物細胞の小胞体形態形成における分子機構は未解明な部分が多い.そこで,小胞体の形態形成に関わる新規因子を探索したところ,小胞体膜に局在する2つのタンパク質ファミリー(ERMP1およびERMP2)を見出した.シロイヌナズナERMP1およびERMP2の多重変異体は小胞体ネットワークの形態に異常を示し,細胞内部に小胞体由来と考えられる凝集体が形成された.植物細胞の小胞体はアクチン・ミオシンXI細胞骨格を介して活発に運動しており,運動性の損なわれた変異体では小胞体が細胞内で正常に分布することができず凝集する例が知られている.ermp1多重変異体およびermp2多重変異体ではいずれも野生型と同様の小胞体運動が観察されたことから,凝集体は別の要因により形成されたと考えられた.現在,凝集体が形成される過程の詳細な解析を進めている.一方,ERMP2が小胞体ネットワーク形成においてどのような役割を果たしているかを明らかにするために,変異体から調製した小胞体画分を用いてin vitro 再構築系を利用した解析を進めている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
想定外の植物栽培室の環境悪化によりシロイヌナズナの生育不良が頻発し,本課題の遂行に必須な植物材料の調達が困難になったため.
|
Strategy for Future Research Activity |
植物栽培室の環境悪化は徐々に改善しているため,当初の研究計画に従って遂行する.
|
Causes of Carryover |
一部の実験に計画より時間を要し,次の実験に使用する物品をH29年度に購入することとしたため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画と内容に大きな変更はないので,H28年度に購入予定であった物品を購入する.
|
Research Products
(6 results)