2005 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー縦偏極電子・陽子衝突による標準模型の精密検証
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16001002
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
徳宿 克夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (80207547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 祐司 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (00311126)
長野 邦浩 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (90391705)
浜津 良輔 東京都立大学, 大学院理学研究科, 助教授 (20087092)
久世 正弘 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (00225153)
山田 作衛 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 名誉教授 (70011658)
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Keywords | 偏極電子・陽子衝突実験 / 素粒子 / 加速器 / 標準模型 / 新粒子探索 / 左右非対称性 / 量子色力学 |
Research Abstract |
本年度は偏極電子・陽子衝突実験を年度を通して行い、積算ルミノシティ約160pb^<-1>を得ることができた。これは2000年以前に無偏極で得られた電子・陽子データの約10倍になり、加速器の高輝度運転の成果である。実験の現場であるドイツハンブルグ市のDESY研究所に必要人員を派遣し、測定器の運転と較正を進め、データの解析を行った。 日本グループが担当責任を持つ測定器は順当に稼動している。初段トリガー回路(山崎、長野)、シリコン飛跡検出器(徳宿)、シリコン粒子識別装置を含むカロリメータ(久世)、電子偏極度測定装置(浜津)それぞれに関して、測定器の性能をモニターするシステムの改善を進めた。特にシリコン飛跡検出器に関しては飛跡位置決定精度を改善させる手法を考案し日本物理学会で報告した。 前年度までに収集した偏極陽電子・陽子衝突データから、荷電流反応の断面積測定を進め、最終結果を平成18年2月に論文投稿した。陽電子の偏極度と共に荷電流反応断面積が変化することを示し、この高いエネルギーで、標準模型の左右非対称性を実験的に検証することができた。偏極電子・陽子衝突からの暫定結果も8月の国際会議で発表しており、現在電子・陽電子の両方の断面積を使って、クォークの種別の電弱結合定数の測定を進めている。 新粒子の探索では、レプトン対に崩壊する粒子、ニュートリノと光子に崩壊する粒子等の研究を進めている。ペンタクォークの探索の準備も前年度から継続して進展している。 ジェット断面積測定と陽子構造関数の測定結果を、両方合わせて量子色力学の予想と比較することにより、強い相互作用の結合定数を精度よく求めることができ、陽子内部のパートン分布の中でも、特に、高い運動量を持つグルーオンをよい精度で決定できた。
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Research Products
(9 results)