2008 Fiscal Year Annual Research Report
膜を介する(チャネルおよびGPCRを中心とした)情報伝達の分子機構研究
Project/Area Number |
16001005
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤吉 好則 Kyoto University, 大学院・理学研究科教授, 教授 (80142298)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 明 三重大学, 医学部, 教授 (90181916)
安井 正人 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90246637)
|
Keywords | 水チャネル / イオンチャネル / Gタンパク質共役型受容体 / 細胞接着 / シナプス / 電子線結晶学 / 2次元結晶 / プロテオミクス |
Research Abstract |
1. 水チャネル、アクアポリンの構造と機能、活性制御、そして高次機能の研究 脳に発現が見られる水チャネル、アクアポリン-4(AQP4)の水透過能がドーパミンなどの神経伝達物質によって制御されることが示唆されている。この機構を構造学的に解析するために、セリン残基がリン酸化された状態を模倣する変異体(Ser180Asp)の構造を2.8A分解能で解析した。この解析により脂質分子とチャネル内の水分子の構造決定にも成功し、速い水の透過をしながらいかなるイオンもプロトンさえも透過しない機構の詳細についてJMBに発表した。また、この水チャネルの水の透過性を阻害する薬剤は脳浮腫などを防ぐ可能性があるので、そのような機能を有する薬剤を同定して、JSBに発表した。 2. イオンチャネルの構造と機能解析 電気シナプスをはじめ広い生物学的機能に関わるGap Junction Channel (Cx26)の電子線結晶学による構造解析から、プラグモデルを提案してPNASに発表したが、X線結晶学の構造解析に成功して、Natureにその構造を発表した。これらにより、これまでの教科書の記述を変えるまったく新しいgating機構、N-末端によるプラグモデルを確認した。さらに研究を進めて、アミノ末端(N-末端)6残基を欠失した変異体の発現系を確立し、2次元結晶を作製して構造解析に成功することによって、このチャネルの複雑なgating機構を構造学的に説明できるようになってきた(論文作成中)。 3. GPCR等の構造と機能解析等 GPCRの1つの代表的受容体であるETBRを昆虫細胞SF+細胞を用いて発現し、リガンドが結合した状態の受容体を精製し結晶化を試みているが、構造研究は困難を極めている。それゆえ、リゾチームのキメラを作製して、その結晶化を進めると共に、系統的な変異の導入を行い、構造の安定な変異体の探索を進めている。いくつかの安定化変異体の候補を見出している。また、胃のpHを1近くに保つためのプロトンポンプHK-ATPaseは、プロトンの濃度勾配を100万倍にもすることができる。電子線結晶学によるこのポンプの構造解析により、その驚異の分子機構を説明できるラチェットモデルを提案し、EMBO Journalに発表した。
|
Research Products
(43 results)