2007 Fiscal Year Annual Research Report
2光子励起顕微鏡法を用いたシナプス・開口放出機構の研究
Project/Area Number |
16002012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河西 春郎 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授 (60224375)
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Keywords | 生物・生体工学 / シグナル伝達 / 生理学 / 糖尿病 / 脳・神経 |
Research Abstract |
大脳錐体細胞の樹状突起スパインの形態可塑性について研究を進め、以下の結果を得た。 1.樹状突起スパインの構造を決める細胞骨格であるアクチン繊維の単一スパインでの構築を2光子光変換GFP融合アクチンを用いて、初めて明らかにした。スパインには定常的に二つのアクチン繊維のプールが分離して存在しており、その量比はスパインの大きさに依存し、大きなスパインの方が安定なプールが大きい。また、頭部増大に際しては、新たなアクチン繊維が生成され、これがスパイン内に残留することが長期頭部増大に必須であることが明らかとなった。更に、この残留には新たなアクチン線維が堅いゲルを構成することが大事で、これにはCaMKIIによるりん酸化が必須であることを明らかにし報告した。 2.長期増強の誘発は細胞体をホールセルクランプすると10分で消失することが知られていた。 我々は、ピペットにアクチンを入れることでこれが防がれることを見出した。これは長期増強に新規アクチン重合が必要であることとよく一致する。この技術を用いて、シナプス後細胞をホールセルクランプしてスパイクを出し、これとスパインのアンケイジングによる刺激を組み合わせスパイク時間依存的可塑性を単一スパインで誘発することに成功し、それが特有の頭部増大を伴っていることを見出した。即ち、この頭部増大は蛋白質合成に依存的な漸増相が伴うことがわかった。更にこれは、スパイクタイミング刺激がBDNFの分泌を促すことによることがわかった。長期記憶は蛋白合成に依存的であることが知られているが、今回、初めて蛋白合成依存的なスパイン形態可塑性を見出した。これらの結果について論文発表した。
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